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EGFRパルミトイル化の遮断はPI3Kシグナル伝達とKRAS変異肺腫瘍形成を抑制する

Blocking EGFR palmitoylation suppresses PI3K signaling and mutant KRAS lung tumorigenesis

Research Article

Sci. Signal. 03 Mar 2020:
Vol. 13, Issue 621, eaax2364
DOI: 10.1126/scisignal.aax2364

Akriti Kharbanda1,2, David M. Walter1,2, Andrea A. Gudiel1,2, Nancy Schek1,2, David M. Feldser1,2,3, and Eric S. Witze1,2,3,*

  1. 1 Department of Cancer Biology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
  2. 2 Perelman School of Medicine, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
  3. 3 Abramson Family Cancer Research Institute, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.

† Corresponding author. Email: ewitze@upenn.edu

要約

非小細胞肺がん(NSCLC)は、上皮成長因子受容体(EGFR)またはグアノシントリホスファターゼKRASの相互排他的な変異によって、しばしば特徴付けられる。以前にEGFR活性を阻害することが示されているEGFRパルミトイル化の遮断が、KRAS変異がある条件で下流のシグナル伝達を変化させる可能性があるという仮説を立てた。本稿では、パルミトイルトランスフェラーゼDHHC20をノックダウンするか、パルミトイル化耐性EGFR変異体を発現させることにより、EGFRパルミトイル化を遮断すると、キナーゼPI3Kの活性化、転写因子MYCの存在量、および培養細胞の増殖が減少し、また、KRAS変異肺腺がんのマウスモデルにおける腫瘍成長が減少することがわかった。DHHC20をノックダウンすると、ヒトKRAS変異肺がん細胞に由来する既存の腫瘍の成長が減少し、これらの細胞のPI3K阻害剤に対する感受性が増加した。パルミトイル化EGFRは、PI3K制御サブユニットPIK3R1(p85)と相互作用し、細胞膜へのPI3Kヘテロダイマーの動員を増加させた。代わりに、パルミトイル化を遮断すると、EGFRとMAPKアダプターGrb2との結合が増加し、p85との結合が減少した。EGFRパルミトイル化によって調節されるMAPKとPI3Kシグナル伝達間のこの二進数スイッチは、発がん性KRASの存在下でのみ観察された。これらの発見は、発がん性KRASがパルミトイル化されていないEGFRを介してシグナル伝達を飽和させ、PI3Kシグナル伝達複合体の形成を減少させるという機構を示唆している。 EGFR-PI3Kシグナル伝達を低減するDHHC20阻害剤の今後の開発は、KRAS変異腫瘍患者にとって有益である可能性がある。

Citation: A. Kharbanda, D. M. Walter, A. A. Gudiel, N. Schek, D. M. Feldser, E. S. Witze, Blocking EGFR palmitoylation suppresses PI3K signaling and mutant KRAS lung tumorigenesis. Sci. Signal. 13, eaax2364 (2020).

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