• ホーム
  • カンピロバクター・ジェジュニの化学受容器Tlp10は二峰性のリガンド結合ドメインと複数のクラスの化学エフェクターへの特異性を持つ

カンピロバクター・ジェジュニの化学受容器Tlp10は二峰性のリガンド結合ドメインと複数のクラスの化学エフェクターへの特異性を持つ

The Campylobacter jejuni chemoreceptor Tlp10 has a bimodal ligand-binding domain and specificity for multiple classes of chemoeffectors

Research Article

Sci. Signal. 05 Jan 2021:
Vol. 14, Issue 664, eabc8521
DOI: 10.1126/scisignal.abc8521

Bassam A. Elgamoudi1, Ekaterina P. Andrianova2, Lucy K. Shewell1, Christopher J. Day1, Rebecca M. King1, Taha1, Hossinur Rahman1, Lauren E. Hartley-Tassell1, Igor B. Zhulin2, and Victoria Korolik1,3,*

  1. 1 Institute for Glycomics, Griffith University, Gold Coast Campus, Southport, QLD 4222, Australia.
  2. 2 Department of Microbiology, The Ohio State University, Columbus, OH 43210, USA.
  3. 3 School of Medical Science, Griffith University, Gold Coast Campus, Southport, QLD 4222, Australia.

* Corresponding author. Email: v.korolik@griffith.edu.au

要約

カンピロバクター・ジェジュニ(Campylobacter jejuni)は、ヒトの腸炎の一般的な原因である細菌性病原体である。われわれは、DAHLドメインと呼ばれるジェジュニ菌の化学受容器Tlp10の周辺質領域で、これまで特徴付けられていなかったタイプの感覚ドメインを同定し、それは、バイモジュラーヘリカル構造を持つと予測されている。このドメインの2つの独立したリガンド結合部位を介して、Tlp10は、誘引物質としての分子アスパラギン酸、イソロイシン、フマル酸、リンゴ酸、フコース、およびマンノース、忌避物質としてのアルギニン、ガラクトース、およびチアミンに応答した。Tlp10は、フコシル化ヒトガングリオシドGM1やLewisa抗原など、複雑な構造の末端および中間残基として存在する場合にグリカンリガンドも認識した。リガンド結合部位を欠くtlp10変異株は、鳥類の盲腸にコロニーを形成し、培養ヒト腸細胞に接着する能力が弱められており、宿主でのコロニー形成および疾患におけるDAHLドメインの潜在的な関与を示している。Tlp10の細胞内シグナル伝達ドメインは、化学受容器を細胞内シグナル伝達装置に共役させる足場タンパク質CheVおよびCheWや、他の化学受容器のシグナル伝達ドメインと相互作用し、シグナル伝達および感覚アレイへの取り込みにおけるTlp10の重要な役割を示唆している。われわれは、植物病原体アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens)由来の必須の病原性誘導タンパク質VirAを含む、他の細菌シグナル伝達タンパク質のDAHLドメインを同定した。合わせると、これらの結果は、Tlp10とジェジュニ菌の病原性の間の潜在的なリンクを示唆している。

Citation: B. A. Elgamoudi, E. P. Andrianova, L. K. Shewell, C. J. Day, R. M. King, Taha, H. Rahman, L. E. Hartley-Tassell, I. B. Zhulin, V. Korolik, The Campylobacter jejuni chemoreceptor Tlp10 has a bimodal ligand-binding domain and specificity for multiple classes of chemoeffectors. Sci. Signal. 14, eabc8521 (2021).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2021年1月5日号

Research Article

ミトコンドリアDNAの変化がフマル酸ヒドラターゼ欠損腎がんにおける好気的解糖への不可逆的シフトの基礎にある

カンピロバクター・ジェジュニの化学受容器Tlp10は二峰性のリガンド結合ドメインと複数のクラスの化学エフェクターへの特異性を持つ

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構