• ホーム
  • 足場タンパク質CheWの六量体リングが、大腸菌の化学受容体アレイにおける応答感度と協調性を増強する

足場タンパク質CheWの六量体リングが、大腸菌の化学受容体アレイにおける応答感度と協調性を増強する

Hexameric rings of the scaffolding protein CheW enhance response sensitivity and cooperativity in Escherichia coli chemoreceptor arrays

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Jan 2022 Vol 15, Issue 718
DOI: 10.1126/scisignal.abj1737

Germán E. Piñas1, Michael D. DeSantis1, C. Keith Cassidy2, John S. Parkinson1,*

  1. 1 School of Biological Sciences, University of Utah, Salt Lake City, UT 84112, USA.
  2. 2 Department of Biochemistry, University of Oxford, Oxford OX1 3QU, UK.

* Corresponding author. Email: parkinson@biology.utah.edu

要約:

大腸菌(Escherichia coli)の化学受容体アレイは、細胞が細胞外のキューに対して動的かつ高い精度と感受性をもって応答することを可能にする超分子集合体である。このアレイの中で、二量体が三量体化している膜貫通型受容体が、その細胞質側の先端で、キナーゼCheAおよび足場タンパク質CheWというサブユニットが交互に並ぶ六量体リング(CheA-CheWリング)と結合している。CheW分子と、CheA-CheWリングと直接結合していない受容体の三量体メンバーとの相互作用により、化学受容体アレイの中で六量体CheWリングが形成されると考えられている。本稿でわれわれは、細胞のシステインを標的とする架橋結合分析を用いてそのようなCheWリングを検出し、その形成およびアレイ集合体におけるその関与のための必要条件を検討した。その結果、CheWリングの形成は、細胞のCheWの存在量に応じて異なり、二量体が三量体化した配置をとることができる受容体の存在に依存し、さらにCheAを必要としないことを見いだした。ホモマーのCheWオリゴマーを形成できないCheA-CheW融合タンパク質に関する架橋結合試験から、CheAを含有するアレイの集合にCheWリングは必須でないことが示された。様々な量のCheWリングを含むアレイのFörster共鳴エネルギー移動(FRET)をベースとするキナーゼアッセイから、CheWリングは、誘引物質への応答に対する協調性と感受性を高めることが明らかにされた。われわれは、化学受容性アレイによる至適なシグナル伝達および勾配追跡能に必要な相互接続性を、6員であるCheWリングが増強していることを提案する。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2022年1月25日号

Editors' Choice

アセチル化は薬剤耐性BRAFを作る

Research Article

アダプターSH2B1とホスファターゼPTP4A1はマウスの有髄シュワン細胞でサイトヘシン2のリン酸化を調節する

足場タンパク質CheWの六量体リングが、大腸菌の化学受容体アレイにおける応答感度と協調性を増強する

最新のResearch Article記事

2025年07月29日号

USP5はFcεRIγを脱ユビキチン化して安定化させ、IgEに誘導されるマスト細胞の活性化とアレルギー性炎症を促進する

2025年07月29日号

プロテオミクス解析により発がん性KRASシグナル伝達の標的、経路および細胞への影響を特定

2025年07月22日号

心筋細胞におけるPTP1Bの欠失は心臓の代謝シグナル伝達を変化させ、高脂肪食によって誘発される心筋症を予防する

2025年07月22日号

レポーターに基づくスクリーニングによってRAS-RAF変異を大腸がんにおける活性型RAS阻害薬耐性のドライバーとして同定

2025年07月15日号

ウイルス性脳炎マウスでは、アストロサイトのRIPK3が転写レベルでセルピンを誘導することにより保護的抗炎症活性を発揮する