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アダプターSH2B1とホスファターゼPTP4A1はマウスの有髄シュワン細胞でサイトヘシン2のリン酸化を調節する

The adaptor SH2B1 and the phosphatase PTP4A1 regulate the phosphorylation of cytohesin-2 in myelinating Schwann cells in mice

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Jan 2022 Vol 15, Issue 718
DOI: 10.1126/scisignal.abi5276

Yuki Miyamoto1,2, Tomohiro Torii3, Keiichi Homma4, Hiroaki Oizumi5, Katsuya Ohbuchi5, Kazushige Mizoguchi5, Shou Takashima6, Junji Yamauchi1,2,*

  1. 1 Laboratory of Molecular Neurology, Tokyo University of Pharmacy and Life Sciences, Hachioji, Tokyo 192-0392, Japan.
  2. 2 Laboratory of Molecular Pharmacology, National Research Institute for Child Health and Development, Setagaya, Tokyo 157-8535, Japan.
  3. 3 Laboratory of Ion Channel Pathophysiology, Doshisha University Graduate School of Brain Science, Kyotanabe, Kyoto 610-0394, Japan.
  4. 4 Department of Life Science and Informatics, Maebashi Institute of Technology, Maebashi, Gunma 371-0816, Japan.
  5. 5 Tsumura Research Laboratories, Tsumura & Co., Inashiki, Ibaraki 200-1192, Japan.
  6. 6 Laboratory of Glycobiology, The Noguchi Institute, Itabashi, Tokyo 173-0003, Japan.

* Corresponding author. Email: yamauchi@toyaku.ac.jp

要約:

成熟髄鞘(ミエリン鞘)は、軸索を絶縁することによって神経伝達速度を向上させるとともに、ストレスや物理的損傷から神経線維を保護する。末梢神経系では、髄鞘はシュワン細胞によって生成される。グアニンヌクレオチド交換因子サイトヘシン2は、タンパク質Arf6を活性化させてシュワン細胞の髄鞘形成を促進する。本稿でわれわれは、サイトヘシン2の調節について調べ、サイトヘシン2のTyr381のリン酸化状態がシュワン細胞の髄鞘形成にとって重要であることを明らかにした。サイトヘシン2にリン酸化不可能なY381F変異を有するノックインマウスでは、坐骨神経組織において、髄鞘の厚みが減少し、Arf6の活性が低下していた。HEK293T細胞では、サイトヘシン2のTyr381はプロテインチロシンホスファターゼPTP4A1によって脱リン酸化される一方で、この部位のリン酸化はアダプタータンパク質SH2B1との相互作用によって維持された。マウスでシュワン細胞特異的にPTP4A1をノックダウンさせると、サイトヘシン2のリン酸化が増加し、髄鞘の厚みが増した。逆に、シュワン細胞特異的にSH2B1を欠損させると、髄鞘の厚みが減り、サイトヘリン2のリン酸化が減少した。このように、末梢神経系では、サイトヘシン2を中心とするシグナル伝達ユニットが――SH2B1を正の調節因子とし、PTP4A1を負の調節因子として――シュワン細胞の髄鞘形成を調節している。

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