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LPS誘発ALI/ARDSの発症機序におけるMer阻害の炎症反応抑制効果

The suppressive effects of Mer inhibition on inflammatory responses in the pathogenesis of LPS-induced ALI/ARDS

Research Article

SCIENCE SIGNALING
8 Mar 2022 Vol 15, Issue 724
DOI: 10.1126/scisignal.abd2533

Masahiko Fukatsu1, Hiroshi Ohkawara1,*, Xintao Wang1, Lobna Alkebsi1, Miki Furukawa1, Hirotaka Mori1, Miwa Fukami1, Shin-ichi Fukami1, Takahiro Sano1, Hiroshi Takahashi1, Kayo Harada-Shirado1, Satoshi Kimura1, Koichi Sugimoto2, Kazuei Ogawa1, Takayuki Ikezoe1

  1. 1 Department of Hematology, Fukushima Medical University, Fukushima, Japan.
  2. 2 Department of Cardiovascular Medicine, Fukushima Medical University, Fukushima, Japan.

* Corresponding author. Email: ohkawara@fmu.ac.jp

要約:

敗血症誘発性の急性肺傷害(ALI)/急性呼吸窮迫症候群(ARDS)の発症機序はまだ十分に解明されていない。Growth arrest-specific 6(Gas6)は、TAMファミリーの受容体型チロシンキナーゼであるTyro3、AxlおよびMerとの相互作用を介して、止血に顕著な影響を及ぼし、炎症を軽減する。今回われわれは、Gas6と可溶性Merの血漿中濃度が、重症敗血症または敗血症性ALI/ARDSの患者において健常供血者と比較して高いことを見出した。Gas6-Mer経路がALI/ARDSの発症機序において重要であるかどうかを明らかにするために、リポ多糖(LPS)を吸入させたマウスモデルにおいて、選択的Mer阻害剤であるUNC2250を静脈内投与したときのLPS誘発ALIに対する効果を検討した。UNC2250は、マウスのLPS誘発ALIにおいて、Gas6およびMerタンパク質量の増加に伴う好中球と単球の肺への浸潤、高度肺障害、活性酸素種(ROS)量の増加を顕著に抑制した。ヒト肺大動脈内皮細胞では、LPSによって内皮型一酸化窒素合成酵素、トロンボモジュリン、血管内皮カドヘリンの量が減少したが、この減少はUNC2250での処理により阻止された。UNC2250はさらに、ヒト好中球様細胞株のHL-60細胞とマウス単球/マクロファージ細胞株のRAW264.7細胞において、細胞増殖のLPS依存性の増加を抑制し、アポトーシスを促進した。これらのデータは、ALI/ARDSにおける炎症反応を治療するための治療薬として、Mer阻害剤UNC2250がもたらす可能性のある様々な有益な効果について知見を与えるものである。

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