合成HDLを用いたHDLの補充はマウスの敗血症に対して複数の保護効果を示す

SCIENCE SIGNALING
15 Mar 2022 Vol 15, Issue 725
DOI: 10.1126/scisignal.abh1121

Ling Guo^1,†, Emily E. Morin^2,†, Minzhi Yu², Ling Mei², Maria V. Fawaz³, Qian Wang¹, Yaxia Yuan⁴, Chang-Guo Zhan⁴, Theodore J. Standiford⁵, Anna Schwendeman^2,6,*, Xiang-An Li^1,7,*

1. ¹ Saha Cardiovascular Research Center and Department of Physiology, University of Kentucky College of Medicine, Lexington, KY 40536, USA.
2. ² Department of Pharmaceutical Sciences, University of Michigan College of Pharmacy, Ann Arbor, MI 48109, USA.
3. ³ Department of Medicinal Chemistry, University of Michigan College of Pharmacy, Ann Arbor, MI 48109, USA.
4. ⁴ Department of Pharmaceutical Sciences, University of Kentucky College of Pharmacy, Lexington, KY 40536, USA.
5. ⁵ Department of Internal Medicine, University of Michigan Medical School, Ann Arbor, MI 48109, USA.
6. ⁶ Biointerfaces Institute, Ann Arbor, MI 48198, USA.
7. ⁷ Lexington VA Health Care System, Lexington, KY 40502, USA.

* Corresponding author. Email: annaschw@med.umich.edu (A.S.); xli2@email.uky.edu (X.-A.L.)

† These authors contributed equally to this work.

要約：

敗血症は、死亡率が30％を超え、治療の選択肢がほとんどない主要な健康問題である。高密度リポタンパク質コレステロール（HDL-C）の存在量は、敗血症の患者では非敗血症の患者と比較して45％減少することがわかった。さらに、生存していない敗血症患者におけるHDL-Cの存在量は、生存した患者よりも実質的に低かった。したがって、HDLの補充が敗血症を治療するための治療的アプローチである可能性があるという仮説を立て、合成HDL（sHDL）を用いてHDLを補充すると、マウスの敗血症に対する保護が提供されることがわかった。盲腸結紮穿刺（CLP）を受けたマウスでは、sHDL ETC-642を注入すると、血漿HDL-C量が増加し、7日生存率が改善した。sHDLで治療された敗血症マウスは、血中尿素窒素（BUN）とサイトカインのインターロイキン-6（IL-6）およびIL-10の血漿濃度がそれぞれ著しく低下することで示されるように、腎機能の改善と炎症の軽減を示した。sHDLは、エンドトキシンLPSおよびLPAが、RAW264.7細胞および受容体TLR4またはTLR2およびNF-κBレポーターを発現するHEK-Blue細胞の炎症経路を活性化する能力を阻害することがわかった。さらに、sHDLは、LPS、LTA、およびTNF-αによるHUVECの活性化を阻害した。合わせると、これらのデータは、sHDL処置が複数の方法で敗血症からマウスを保護し、敗血症患者にとって効果的な治療法である可能性があることを示している。