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PKAによるニューロリジン-2のリン酸化が、その細胞表面の存在量とシナプスの安定化を制御する

Phosphorylation of neuroligin-2 by PKA regulates its cell surface abundance and synaptic stabilization

Research Article

CIENCE SIGNALING
21 Jun 2022 Vol 15, Issue 739
DOI: 10.1126/scisignal.abg250

Els F. Halff1,†, Saad Hannan1, Jaturon Kwanthongdee1,2, Flavie Lesept1, Trevor G. Smart1, Josef T. Kittler1,*

  1. 1 Department of Neuroscience, Physiology, and Pharmacology, University College London, London WC1E 6BT, UK.
  2. 2 Princess Srisavangavadhana College of Medicine, Chulabhorn Royal Academy, Bangkok 10210, Thailand.

* Corresponding author. Email: j.kittler@ucl.ac.uk

† Present address: Department of Psychosis studies, Institute of Psychiatry, Psychology and Neuroscience, King's College London, London SE5 8AF, UK.

PKAによるシナプスのGABAシグナル伝達の調節

ニューロンでは、接着分子であるニューロリジン-2(NL2)が、抑制性神経伝達物質GABA受容体の細胞表面への局在を支持する足場タンパク質を動員する。NL2のリン酸化は、この足場タンパク質との相互作用を阻害し、GABA-タイプA受容体の存在量を減少させ、それによってGABAシグナル伝達の強度を弱める。Halffらは、NL2のリン酸化にはキナーゼPKAが介在していることを明らかにした。培養下のラットニューロンにおけるこのようなリン酸化イベントは、シナプス表面からのNL2の分離を誘導し、GABA受容体の表面存在量を減少させ、抑制性電流を低下させた。一方、リン酸化部位がアラニンに変異した型のNL2を発現するニューロンでは、GABA作動性シグナル伝達が亢進した。これらの知見は、抑制回路の活動性の変化が関係している神経疾患に対して洞察をもたらすと考えられる。

要約

トランスシナプスの接着分子であるニューロリジン-2(NL2)は、抑制性シナプスの発達および機能に不可欠である。Nl2は、シナプス後膜で足場タンパク質ゲフィリンを動員し、ひいてはシナプス後ドメインにあるγアミノ酪酸タイプA受容体(GABAAR)を安定化する。したがってシナプスのNL2量はシナプスのGABAAR濃度を制御し、抑制性神経伝達の効率を調整することができる。本稿でわれわれは、生化学試験、画像化実験、単一粒子の追跡および電気生理学試験を用い、シナプスでのNL2の安定化に果たしている、cAMP依存性プロテインキナーゼ(PKA)の重要な役割を明らかにした。また、PKAを介したNL2のSer714部位でのリン酸化が、シナプスからのNL2の分離を引き起こし、表面のNL2の存在量を減少させることで、シナプスのGABAARの欠失を導いていることも確認した。逆を言えば、PKAを介したリン酸化を消失させることで、シナプスにおけるNL2の安定性を増強し、抑制性シグナル伝達の亢進が誘導される。このようにPKAは、NL2の機能の制御およびGABAを介したシナプス抑制において重要な役割を果たしている。

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