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THEMISはTCR非依存性シグナルを促進することによって正常なおよび神経炎症性の1型免疫応答の規模を増大させる

THEMIS enhances the magnitude of normal and neuroinflammatory type 1 immune responses by promoting TCR-independent signals

Research Article

SCIENCE SIGNALING
12 Jul 2022 Vol 15, Issue 742
DOI: 10.1126/scisignal.abl5343

Cui Yang1, Gaëtan Blaize1,†, Rémi Marrocco1,†, Nelly Rouquié1,†, Cyrielle Bories1, Mylène Gador1, Suzanne Mélique1, Emeline Joulia1, Mehdi Benamar1, Anne S. Dejean1, Hélène Daniels-Treffandier1,2, Paul E. Love3, Nicolas Fazilleau1, Abdelhadi Saoudi1, Renaud Lesourne1,*

  1. 1 Toulouse Institute for Infectious and Inflammatory Diseases (Infinity), University of Toulouse, CNRS, INSERM, UPS, 31024 Toulouse, France.
  2. 2 Ecole Nationale Vétérinaire de Toulouse, Toulouse, France.
  3. 3 Section on Hematopoiesis and Lymphocyte Biology, Eunice Kennedy Shriver National Institute of Child Health and Human Development, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.

* Corresponding author. Email: renaud.lesourne@inserm.fr

† These authors contributed equally to this work.

T細胞内のTHEMIS

ナイーブT細胞は、みずからのT細胞受容体(TCR)およびサイトカインシグナルを介して抗原依存性シグナルを統合し、特殊化した免疫機能をもつ個別のTヘルパー(TH)細胞サブセットに分化する。T細胞シグナル伝達タンパク質であるTHEMISは、T細胞の発生に重要である。Yangらは、マウスにおいて胸腺選択後にThemisを破壊し、末梢T細胞におけるTHEMISの機能を調べた。さまざまなTH細胞サブセットのうち、THEMISはTH1細胞のみの機能を促進し、自己免疫モデルマウスにおいてT細胞の脳炎誘発性応答を増強した。しかし、THEMISはin vitroのナイーブT細胞においてTCR依存性シグナル伝達に拮抗作用を及ぼしたことから、THEMISシグナル伝達は状況依存的であり、これらの阻害作用が、in vivoの免疫応答時には、T細胞エフェクター機能を促進するTHEMISによるTCR非依存性シグナル伝達に負けることが示唆された。

要約

ナイーブCD4+ Tヘルパー(TH)細胞の、特定のエフェクター細胞サブセットへの分化を決定するシグナルは、主にサイトカインによって刺激されるが、TH細胞応答の規模を調節し、効果的な免疫と免疫寛容とのバランスを取るためには、さらなるシグナルが必要である。われわれは、T細胞系列シグナル伝達タンパク質であるTHEMISの胸腺後の欠失を誘導することにより、THEMISは、外来抗原に対する最適な1型免疫応答の発生を促進するが、自己神経抗原に対する脳炎誘発性応答を支持するシグナルを刺激することを示した。THEMISは、転写調節因子T-BETをコードする遺伝子の発現と、サイトカインであるインターフェロン-γ(IFN-γ)の産生を刺激するために必要であり、脳炎誘発性CD4+ T細胞が中枢神経系に移動する能力を増強した。これと一致して、極性化されたCD4+ T細胞におけるTHEMIS発現の解析により、THEMISはTH1細胞において選択的に存在量が増加することが示された。分化前のエフェクターCD4+ T細胞を抗原提示細胞によって刺激すると、1型サイトカイン応答に対するTHEMISの刺激機能が明らかになり、この機能は、免疫後にex vivoで認められたものと同様であった。その一方で、THEMISは、TH1細胞応答につながるT細胞受容体(TCR)介在性シグナルを阻害することによって、in vitroでナイーブCD4+ T細胞に拮抗作用を及ぼした。これらのデータから、THEMISはエフェクターT細胞においてTCR非依存性の機能を果たし、正常なおよび病原性のTH1細胞介在性応答の規模を増大させることが示唆される。

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