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BRET Ca2+センサーはバックグラウンド蛍光の存在下でのハイスループットスクリーニングを可能にする

A BRET Ca2+ sensor enables high-throughput screening in the presence of background fluorescence

Research Article

SCIENCE SIGNALING
16 Aug 2022 Vol 15, Issue 747
DOI: 10.1126/scisignal.abq7618

Derrick Cumberbatch1,†, Tetsuya Mori1,†, Jie Yang1,†, Dehui Mi2, Paige Vinson3, C. David Weaver2,4, Carl Hirschie Johnson1,*

  1. 1 Department of Biological Sciences, Vanderbilt University, Nashville, TN, USA.
  2. 2 Vanderbilt Institute of Chemical Biology, Vanderbilt University, Nashville, TN, USA.
  3. 3 Southern Research, Birmingham, AL, USA.
  4. 4 Department of Pharmacology, Vanderbilt University, Nashville, TN, USA.

* Corresponding author. Email: carl.h.johnson@vanderbilt.edu

† These authors contributed equally to this work.

バックグラウンド蛍光の克服

蛍光センサーは、細胞プロセスをモニターするために一般的に用いられるが、サンプルの自家蛍光または蛍光試薬の存在がセンサー活性の検出を妨げる可能性がある。Cumberbatchらは、Ca2+の生物発光共鳴エネルギー転移センサーであるCalfluxCTNを開発した。CalfluxCTNは、蛍光化合物の存在下でも、ムスカリン性アセチルコリン受容体hM1Rの下流の細胞内Ca2+シグナル伝達を正確に報じた。さらに、蛍光化合物を含む化学ライブラリーのハイスループットスクリーニングにおいて、蛍光Ca2+センサーFluo-8よりも優れていた。したがって、生物発光センサーを用いると、バックグラウンド蛍光の交絡作用を回避できる。

要約

サンプルの内因性の蛍光は、蛍光を用いたセンサーの使用を難しくする。これは、内在的に蛍光化合物を含む大規模な化学ライブラリーを用いるハイスループットスクリーニング(HTS)アプリケーションで特に懸念される。われわれは、この問題を克服するため、生物発光共鳴エネルギー転移(BRET) Ca2+センサー、CalfluxCTNを開発した。われわれは、このセンサーが、標準的な蛍光HTSセンサー(Fluo-8)に干渉する蛍光化合物フルオレセインの存在下でも、ヒトムスカリン性アセチルコリン受容体M1(hM1R)のアゴニストおよびアンタゴニストによって誘発される細胞内Ca2+濃度の変化を正確に表すことを実証した。CalfluxCTNは、蛍光化合物を含む化学ライブラリーを用いたHTSで、Fluo-8を用いて見逃された、または誤って分類されたアゴニストとアンタゴニストを正確に同定した。さらに、細胞内でのみ活性化されるルシフェラーゼ基質が、HTSで長時間持続するBRETシグナルを生成することを示し、これにより、反復サンプル間で結果を数時間にわたって確実に比較することが可能となった。したがって、蛍光センサーの代わりに自己発光センサーを用いると、ハイスループットコンテキストで化学ライブラリーの完全なスクリーニングが容易になり、多くの異なるアプリケーションで自己蛍光サンプルの分析が可能になる。

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