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がん関連線維芽細胞から分泌されるIGF結合タンパク質は肺がん細胞の状況依存的な薬剤感受性化を誘導する

IGF-binding proteins secreted by cancer-associated fibroblasts induce context-dependent drug sensitization of lung cancer cells

Research Article

SCIENCE SIGNALING
16 Aug 2022 Vol 15, Issue 747
DOI: 10.1126/scisignal.abj5879

Lily L. Remsing Rix1, Natalia J. Sumi1,2, Qianqian Hu1,2, Bina Desai1,2, Annamarie T. Bryant1,†, Xueli Li1, Eric A. Welsh3, Bin Fang4, Fumi Kinose5, Brent M. Kuenzi1,2, Y. Ann Chen6,7, Scott J. Antonia5,‡, Christine M. Lovly8, John M. Koomen7,9, Eric B. Haura5, Andriy Marusyk7,10, Uwe Rix1,7*

  1. 1 Department of Drug Discovery, Moffitt Cancer Center, Tampa, FL 33612, USA.
  2. 2 Cancer Biology Ph.D. Program, University of South Florida, Tampa, FL 33620, USA.
  3. 3 Biostatistics and Bioinformatics Shared Resource, Moffitt Cancer Center, Tampa, FL 33612, USA.
  4. 4 Proteomics and Metabolomics Core, H. Lee Moffitt Cancer Center & Research Institute, Tampa, FL 33612, USA.
  5. 5 Department of Thoracic Oncology, H. Lee Moffitt Cancer Center & Research Institute, Tampa, FL 33612, USA.
  6. 6 Department of Biostatistics and Bioinformatics, Moffitt Cancer Center, Tampa, FL 33612, USA.
  7. 7 Department of Oncologic Sciences, University of South Florida, Tampa, FL 33620, USA.
  8. 8 Department of Medicine, Vanderbilt University Medical Center, Nashville, TN 37232, USA.
  9. 9 Department of Molecular Oncology, Moffitt Cancer Center, Tampa, FL 33612, USA.
  10. 10 Department of Cancer Physiology, Moffitt Cancer Center, Tampa, FL 33612, USA.

* Corresponding author. Email: uwe.rix@moffitt.org

† Present address: University of Notre Dame, Notre Dame, IN, USA.

‡ Present address: Duke University, Durham, NC 27708, USA.

状況的に複雑なCAF

がん関連線維芽細胞(CAF)は、薬剤耐性と腫瘍の進行に関与する場合が多い。しかし、CAFは表現型的および機能的に不均一であり、特異的なプロテオームプロファイルを有するCAFが腫瘍抑制に関連する。Remsing Rixらは、薬剤有効性におけるCAFの役割にもう一捻りあることを見出した。彼らは、ある肺がん細胞株で薬剤耐性を誘導するものと同じCAFが、別の肺がん細胞株では薬剤感受性を促進することを明らかにした。EGFR変異腫瘍では、CAFから分泌されるIGF結合タンパク質(IGFBP)によって、薬剤誘導性の代償的シグナル伝達が減弱され、それにより未治療および薬剤耐性細胞の薬剤有効性が増強または回復した。したがって、薬剤耐性におけるCAFの機能は、二値的であるというよりは、それらが相互作用するがん細胞のシグナル伝達状況に依存する。

要約

腫瘍微小環境内のがん関連線維芽細胞(CAF)は、薬剤耐性に関連する場合が多い。今回われわれは、CAFとの共培養またはCAF培養上清での培養によって、特定の肺がん細胞株の薬剤感受性が予想外に誘導されることを見出した。CAFと正常肺関連線維芽細胞(NAF)の遺伝子発現およびセクレトーム解析により、受容体IGF1RとキナーゼFAKによるシグナル伝達をそれぞれ促進または阻害する、インスリン様増殖因子(IGF)およびIGF結合タンパク質(IGFBP)の存在量の違いが明らかになった。ゲフィチニブ耐性EGFR変異PC9GR肺がん細胞を組換えIGFBPで処理した場合に、同様の薬剤感受性化が認められた。逆に、組換えIGF、あるいはIGFBP5またはIGFBP6を抑制したCAFに由来する培養上清によって、薬剤感受性は低下した。リン酸化プロテオミクスおよび受容体チロシンキナーゼ(RTK)アレイ解析では、PC9GR細胞をCAF培養上清に曝露すると、EGFR阻害剤のオシメルチニブによって誘導される代償的なIGF1RおよびFAKシグナル伝達も阻害されることが示された。IGF1RとFAKの低分子阻害剤を併用すると、培養においてCAFを介する作用が表現型模写され、マウスにおいてオシメルチニブの抗腫瘍効果が増大した。MET増幅を有するまたは上皮間葉転換を示すオシメルチニブ耐性細胞でも、IGFBPに対する感受性が残存した。このように、CAFは状況依存的に薬剤耐性を促進または低減しており、CAFセクレトームの構成の違いと、腫瘍のシグナル伝達依存性との関連を解読することで、有効な併用治療戦略が明らかになる可能性がある。

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