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YapとTazはin vitroおよびin vivoで神経堤細胞の骨形成を促進し軟骨形成を妨げる

Yap and Taz promote osteogenesis and prevent chondrogenesis in neural crest cells in vitro and in vivo

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Oct 2022 Vol 15, Issue 757
DOI: 10.1126/scisignal.abn9009

Xiaolei Zhao1, Li Tang2, Tram P. Le1, Bao H. Nguyen3, Wen Chen1, Mingjie Zheng1, Hiroyuki Yamaguchi1, Brian Dawson4, Shuangjie You1,5, Idaliz M. Martinez-Traverso3, Shannon Erhardt1,5, Jianxin Wang2, Min Li2, James F. Martin3,6, Brendan H. Lee4, Yoshihiro Komatsu1,5, Jun Wang1,5,*

  1. 1 Department of Pediatrics, McGovern Medical School, University of Texas Health Science Center at Houston, Houston, TX 77030, USA.
  2. 2 Hunan Provincial Key Lab on Bioinformatics, School of Computer Science and Engineering, Central South University, Changsha, Hunan 410083, China.
  3. 3 Department of Molecular Physiology and Biophysics, Baylor College of Medicine, One Baylor Plaza, Houston, TX 77030, USA.
  4. 4 Department of Molecular and Human Genetics, Baylor College of Medicine, One Baylor Plaza, Houston, TX 77030, USA.
  5. 5 MD Anderson Cancer Center UT Health Graduate School of Biomedical Sciences, University of Texas, Houston, TX 77030, USA.
  6. 6 Texas Heart Institute, Houston, TX 77030, USA.

* Corresponding author. Email: jun.wang@uth.tmc.edu

Yap/Tazによる軟骨形成から骨形成への切り替え

転写調節因子であるYapとTazは、間葉系幹細胞から、体幹と四肢の骨格を構築する骨芽細胞と軟骨細胞への特定と分化において重要な役割を果たす。Zhaoらは、in vitroよびマウスでの実験を通じて、それらがまた、頭蓋神経堤細胞(NCC)を、顔と頭蓋骨の骨と軟骨を生み出す骨芽細胞と軟骨細胞に適切に特定し分化させるためにも必要であることを発見した。YapとTazは、NCCを二分化能性骨軟骨前駆細胞に分化させ、続いて骨芽細胞に分化させるために必要であった。骨軟骨前駆細胞では、YapとTazは骨形成遺伝子の発現を促進し、軟骨形成遺伝子の発現を抑制した。これは、おそらくWntシグナル伝達エフェクターβ-カテニンと協調して行われた。このように、YapとTazは、ある細胞運命を促進し、別の細胞運命を抑制することの両方で、NCCの骨形成系列決定を促進する。

要約

神経堤細胞(NCC)は、骨芽細胞や軟骨細胞を含む複数の細胞型に分化できる組織幹細胞であり、頭蓋顔面骨格の大部分を構成する。ここでは、in vitroおよびin vivoの研究を通じて、転写調節因子YapとTazが骨芽細胞または軟骨細胞へのNCCの特定と分化の重要な決定因子として冗長的な機能を持つことを示す。YapTazが欠損した初代NCCおよび培養NCCは、骨形成から軟骨形成に切り替わり、NCC特異的YapTazの欠損は、マウスで骨減少と異所性軟骨を引き起こした。Yapは、NCCの骨形成と軟骨形成を支配する重要な遺伝子の調節エレメントに結合し、これらの遺伝子の発現を直接調節した。これらの遺伝子の一部には、Wntエフェクターβ-カテニンと相互作用するTCF/LEF転写因子の結合部位も含まれていた。in vitroでのNCCの分化とin vivoでのNCC由来の骨形成時に、YapとTazはRunx2Sp7などの骨形成遺伝子の発現を促進したが、Sox9Col2a1などの軟骨形成遺伝子の発現を抑制した。さらに、YapとTazはNCCでβ-カテニンと相互作用して、協調的に骨芽細胞の分化を促進し、軟骨形成を抑制した。合わせると、われわれのデータは、部分的にWnt-β-カテニン経路との相互作用を介して、YapとTazがNCCの骨形成を促進し、軟骨形成を妨げることを示す。

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