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チロシンキナーゼ阻害剤はリソソーム損傷と細胞溶解を介して骨髄系細胞においてNLRP3インフラマソームを活性化することができる

Tyrosine kinase inhibitors can activate the NLRP3 inflammasome in myeloid cells through lysosomal damage and cell lysis

Research Article

SCIENCE SIGNALING
17 Jan 2023 Vol 16, Issue 768
DOI: 10.1126/scisignal.abh1083

Emilia Neuwirt1, 2, 3, †, Giovanni Magnani4, †, Tamara Ćiković4, 5, ‡, Svenja Wöhrle1, 3, ‡, Larissa Fischer1, 3, Anna Kostina1, Stephan Flemming6, Nora J. Fischenich1, Benedikt S. Saller1, 3, Oliver Gorka1, Steffen Renner7, Claudia Agarinis7, Christian N. Parker7, Andreas Boettcher7, Christopher J. Farady7, Rebecca Kesselring8, 9, Christopher Berlin8, 9, Rolf Backofen2, 6, Marta Rodriguez-Franco10, Clemens Kreutz2, 11, Marco Prinz1, 2, 12, Martina Tholen13, Thomas Reinheckel2, 9, 13, Thomas Ott2, 10, Christina J. Groß2, Philipp J. Jost14, Olaf Groß1, 2, 12, *

  1. 1 Institute of Neuropathology, Medical Center - University of Freiburg, Faculty of Medicine, University of Freiburg, 79106 Freiburg, Germany.
  2. 2 Signalling Research Centres BIOSS and CIBSS, University of Freiburg, 79104 Freiburg, Germany.
  3. 3 Faculty of Biology, University of Freiburg, 79104 Freiburg, Germany.
  4. 4 Institute of Clinical Chemistry and Pathobiochemistry, Klinikum rechts der Isar, Technical University of Munich, 81675 Munich, Germany.
  5. 5 Center for Translational Cancer Research (TranslaTUM), Technical University of Munich, 81675 Munich, Germany.
  6. 6 Bioinformatics Group, Faculty of Engineering, University of Freiburg, 79110 Freiburg, Germany.
  7. 7 Novartis Institutes for BioMedical Research, 4056 Basel, Switzerland.
  8. 8 Department for General and Visceral Surgery, Medical Center - University of Freiburg, Faculty of Medicine, University of Freiburg, 79106 Freiburg, Germany.
  9. 9 German Cancer Consortium (DKTK), German Cancer Research Center (DKFZ) 69120 Heidelberg, Germany.
  10. 10 Faculty of Biology, Cell Biology, University of Freiburg, 79104 Freiburg, Germany.
  11. 11 Institute of Medical Biometry and Statistics (IMBI), Medical Center - University of Freiburg, Faculty of Medicine, University of Freiburg, 79106 Freiburg, Germany.
  12. 12 Center for Basics in NeuroModulation (NeuroModulBasics), Faculty of Medicine, University of Freiburg, 79106 Freiburg, Germany.
  13. 13 Institute for Molecular Medicine and Cell Research, Faculty of Medicine, University of Freiburg, 79104 Freiburg, Germany.
  14. 14 Division of Clinical Oncology, Department of Medicine, Medical University of Graz, 8036 Graz, Austria.

* Corresponding author. Email: olaf.gross@uniklinik-freiburg.de

† These authors contributed equally to this work.

‡ These authors contributed equally to this work.

オフターゲットの支援または妨害

チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)は、がん細胞において増殖と運動を促進するタンパク質を標的とするように設計されている。しかし、TKIは有効性にばらつきがあり、有害な副作用をもたらす場合も多い。Neuwirtらは、患者における薬剤の全体的作用に寄与する可能性がある、免疫細胞でのTKIのキナーゼ標的非依存性作用を明らかにした。自然免疫応答を仲介するインフラマソームの活性化因子に関する低分子スクリーニングでは、いくつかのTKIが、リソソーム損傷と溶解性細胞死を誘導し、それによってインフラマソーム構成成分のNLRP3を活性化した。これらの作用は骨髄系細胞に選択的であった。これらのTKIには、臨床的に承認されたABL阻害剤のイマチニブおよびALK阻害剤のクリゾチニブや、c-KIT阻害剤であるマシチニブなどの臨床試験中の薬剤が含まれ、続いて放出されるサイトカインは、臨床転帰を支援することも妨害することもできた。これらの知見から、患者における一部のTKIの成功または不成功は、骨髄系細胞におけるこの「オフターゲット」作用の影響を受けている可能性があることが示唆される。-LKF

要約

インフラマソームは、病原体や損傷された組織、または腫瘍性の組織に応答した炎症性宿主防御を促進する細胞内タンパク質複合体であり、炎症性疾患や治療薬誘発性の毒性に関与する。われわれは、NOD様受容体(NLR)タンパク質を核とするインフラマソームの活性化の機構を検討した。低分子化合物ライブラリのスクリーニングにより、いくつかのチロシンキナーゼ阻害剤(TKI)(臨床的に承認されたもの[イマチニブ、クリゾチニブなど]または臨床試験中のもの[マシチニブなど]を含む)が、NLRP3インフラマソームを活性化することが明らかになった。さらに、イマチニブとマシチニブは、それぞれのキナーゼ標的とは無関係に、リソソームを膨張させて損傷させ、カテプシンを介して骨髄系細胞膜の不安定化を引き起こし、最終的にカリウム(K+)流出を伴う細胞溶解をもたらすことによって、NLRP3を活性化した。この作用は初代培養骨髄系細胞(末梢血単核細胞、マウス骨髄由来樹状細胞など)に特異的であり、その他の初代培養細胞種や種々の細胞株では生じなかった。TKI誘導性の溶解性細胞死とNLRP3活性化は、細胞膜を安定化させることによって阻止されたが、リソソーム損傷は阻止されなかった。われわれの結果は、一部のTKIが、それらの臨床的有効性または有害作用に寄与すると考えられる、免疫学的なオフターゲット作用を有する可能性を明らかにするものである。

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