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ヘッジホッグ誘導性ZFYVE21はT細胞でNLRP3インフラマソームを活性化することによって慢性血管炎症を促進する

Hedgehog-induced ZFYVE21 promotes chronic vascular inflammation by activating NLRP3 inflammasomes in T cells

Research Article

SCIENCE SIGNALING
21 Mar 2023 Vol 16, Issue 777
DOI: 10.1126/scisignal.abo3406

Bo Jiang1, †, ‡, Shaoxun Wang1, 2, †, Guiyu Song2, 3, Quan Jiang2, 3, Matthew Fan2, 3, Caodi Fang3, Xue Li3, Chien Lin Soh4, Thomas D. Manes5, Nardos Cheru5, Lingfeng Qin1, Pengwei Ren1, Bianca Jortner3, Qianxun Wang2, 3, Emma Quaranta3, Peter Yoo1, Arnar Geirsson1, Robert P. Davis1, George Tellides1, Jordan S. Pober5, Dan Jane-wit2, 3, 5, *

  1. 1 Department of Surgery, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06520, USA.
  2. 2 Division of Cardiology, West Haven VA Medical Center, West Haven, CT 06516, USA.
  3. 3 Section of Cardiovascular Medicine, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06520, USA.
  4. 4 University of Cambridge, School of Clinical Medicine, Hills Rd., Cambridge CB2 0SP, UK.
  5. 5 Department of Immunobiology, Yale University School of Medicine, New Haven, CT 06520, USA.

* Corresponding author. Email: dan.jane-wit@yale.edu

† These authors contributed equally to the work.

‡ Present address: Department of Vascular Surgery, The First Hospital of China Medical University, Shenyang, China.

ヘッジホッグが血管炎症をあおる

臓器移植を受けた患者の多くが、虚血再灌流傷害(IRI)に伴う慢性血管炎症の一形態であり臓器不全に至ることもある、同種移植片血管症を発症する。ヘッジホッグ(Hh)リガンドは内皮の恒常性と修復を促進し、T細胞のエフェクター機能に影響を及ぼしうることから、Jiangらは、Hhシグナル伝達とT細胞誘導性の血管炎症との関連の可能性を検討した。患者検体、初代培養ヒト細胞、ヒト内皮細胞または動脈を移植したマウスを用いて、著者らは、IRIにより内皮細胞がソニックヘッジホッグ(SHH)を産生するように誘導され、SHHがメモリーT細胞のサブセットを刺激して、インフラマソームを活性化するジンクフィンガータンパク質ZFYVE21を産生させることを見出した。T細胞におけるNLRP3インフラマソームの活性化により、内皮由来抗原に応答した炎症性サイトカインの産生が増強され、内皮において免疫細胞浸潤と病的変化が生じた。これらの結果は、同種移植片血管症に寄与する機構を明らかにするものである。-AMV

要約

ジンクフィンガータンパク質ZFYVE21は、免疫シグナル伝達に関与する。ヒト化マウスモデル、初代培養ヒト細胞、患者検体を用いて、われわれは、同種移植片血管症と関連する慢性血管炎症を促進する、ZFYVE21のT細胞自律的な役割を同定した。虚血再灌流傷害(IRI)によって、内皮細胞はヘッジホッグ(Hh)リガンドを産生するように刺激され、Hhが続いて、in vivoで多量のHh受容体PTCH1をもつメモリーT細胞集団(PTCHhi細胞、CD3+CD4+CD45RO+PTCH1hiPD-1hi)におけるZFYVE21の産生とそれらの細胞の傷害された内皮への活発な動員を誘導し、エフェクター応答を増強した。インターフェロン-γ(IFN-γ)による刺激後、Hh誘導性ZFYVE21はT細胞においてNLRP3インフラマソーム活性を高め、IFN-γ応答を増強した。移植前にIRIを与えられたヒト内皮細胞または冠動脈を移植したマウスにおいて、Hh誘導性NLRP3インフラマソームとT細胞特異的ZFYVE21は、慢性炎症の血管続発症を増強した。さらに、腎移植に関連するIRIを受けた患者では、多量のZFYVE21を産生するPTCHhi T細胞集団が増殖しており、これらの患者から得られた血清は、対照T細胞においてHhシグナル伝達依存的にこの集団を増殖させた。われわれは、Hh誘導性ZFYVE21が、T細胞においてNLRP3インフラマソームを活性化することによって、慢性炎症を促進すると結論する。

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