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FGF21が酔いを醒まさせる
An FGF21 fix to get sober
SCIENCE SIGNALING
21 Mar 2023 Vol 16, Issue 777
DOI: 10.1126/scisignal.adh8118
Wei Wong
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org
M. Choi, M. Schneeberger, W. Fan, A. Bugde, L. Gautron, K. Vale, R. E. Hammer, Y. Zhang, J. M. Friedman, D. J. Mangelsdorf, S. A. Kliewer, FGF21 counteracts alcohol intoxication by activating the noradrenergic nervous system. Cell Metab. 35, 429-437.e5 (2023).
M. Jastroch, S. Keipert, M. H. Tschöp, Protection from alcohol intoxication: Must be FGF21 to enter. Cell Metab. 35, 377-379 (2023).
FGF21に媒介されたノルアドレナリン作動性ニューロンの活性化がマウスのエタノール中毒からの回復を可能にする
発酵した果実の摂取後に起こりうるエタノール中毒を中和させるために、脳内の青斑核のニューロンが活性化されてノルエピネフリンを産生し、覚醒と注意力を刺激する。エタノールは、受容体チロシンキナーゼFGFR1cと膜貫通タンパク質β-Klotho(KLB)で構成される複合体に作用する肝臓ホルモンFGF21の合成を強力に誘導する。Choiらは、青斑核でFGFR1cとKLBの複合体に作用するFGF21が、アルコール中毒からの回復を促進することを明らかにした(Jastrochらも参照)。全身または肝細胞特異的なFGF21欠損を有するマウスは、野生型マウスに比べて、エタノールの経口投与によってより急速に酔い、よりゆっくりと回復した。逆に、FGF21を投与するとエタノール経口投与からのマウスの回復は加速され、この作用にはニューロン内にKLBが存在する必要があった。FGF21はエタノール中毒からの回復を特異的に促進し、多種多様な鎮静薬からの回復には影響しなかった。エタノールによって誘導される青斑核のニューロンの活性化にはFGF21が必要であり、エタノール中毒からの回復を促進するFGF21の能力には、ノルアドレナリン作動性ニューロンでのKlbの発現と、ノルエピネフリンの産生とシグナル伝達が必要であった。このように、エタノール摂取は肝臓のFGF21放出を刺激し、それが青斑核のノルアドレナリン作動性ニューロンを活性化させ、エタノールの中毒作用を中和することになる。