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副腎のストレス応答は、治療誘導性の致死的な免疫活性化への対抗に不可欠な宿主応答である

The adrenal stress response is an essential host response against therapy-induced lethal immune activation

Research Article

SCIENCE SIGNALING
21 Mar 2023 Vol 16, Issue 777
DOI: 10.1126/scisignal.add4900

Ling Guo1, Weinan Wang2, Qian Wang1, Dan Hao3, Misa Ito3, Bin Huang4, Chieko Mineo5, Philip W. Shaul5, Jaebok Choi6, L. Frank Huang2, 7, *, Xiang-An Li1, 3, 8, 9, *

  1. 1 Saha Cardiovascular Research Center, University of Kentucky College of Medicine, Lexington, KY 40536, USA.
  2. 2 Division of Experimental Hematology and Cancer Biology, Brain Tumor Center, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH, 45229, USA.
  3. 3 Department of Pharmacology and Nutritional Sciences, University of Kentucky College of Medicine, Lexington, KY 40536, USA.
  4. 4 Division of Cancer Biostatistics, University of Kentucky College of Medicine, Lexington, KY 40536, USA.
  5. 5 Department of Pediatrics, University of Texas Southwestern Medical Center, Dallas, TX 75390, USA.
  6. 6 Department of Medicine, Washington University School of Medicine at St. Louis, St. Louis, MO 63110, USA.
  7. 7 Department of Pediatrics, University of Cincinnati College of Medicine, Cincinnati, OH, 45229, USA.
  8. 8 Lexington VA Healthcare System, 1101 Veterans Drive, Lexington, KY 40502, USA.
  9. 9 Department of Physiology, University of Kentucky College of Medicine, Lexington, KY 40536, USA.

* Corresponding author. Email: frank.huang@cchmc.org (L.F.H.); xli2@email.uky.edu (X.-A.L.)

グルココルチコイドがサイトカインストームを抑える

T細胞を刺激する治療は、組織損傷および死亡を引き起こす可能性がある炎症促進性サイトカインの全身からの速やかな放出(サイトカインストームと呼ばれる)を、意図せず誘導することがある。Guoらは、免疫療法の抗体薬を投与されたマウスにおける致死的サイトカインストームの予防に、副腎のストレス応答によるグルココルチコイドの放出が重要であることを見いだした。野生型マウスと、CD3抗体薬に対してグルココルチコイド応答を生じることができないマウスは、初期には同程度の全身性サイトカイン放出を示したが、野生型マウスのみでサイトカイン産生の速やかな消失と長期生存が認められた。副腎応答欠損マウスでは抗体療法の前に低用量グルココルチコイドを投与することで、サイトカインの消失および生存が回復した。これらの知見は、免疫療法に誘導されるサイトカインストームを副腎のストレス応答が抑えること、また、このような応答を模倣することで、患者における重篤な転帰を予防できる可能性を示唆している。-LKF

要約

サイトカイン放出症候群(CRS)とは、感染または薬物誘導性のT細胞活性化と関連する全身性の炎症性症候群であり、多臓器不全や死亡さえも引き起こす可能性がある。一部の重症CRSの患者では現行の治療が有効でないため、われわれは、予防療法および患者の臨床転帰改善につながる可能性がある、重症CRSの背景にあるリスク因子および機構の特定を開始した。その結果、マウスにおける副腎のストレス応答の欠失(相対的副腎機能不全(RAI)と呼ばれる患者では同様の状態がみられる)が、致死的CRSのリスク増加をもたらすことが明らかとなった。CD3抗体を投与されたマウスでは、高密度リポタンパク質(HDL)の受容体であるスカベンジャー受容体B1(SR-BI)に依存する形で、副腎のストレスに応答したグルココルチコイド(GC)産生が誘導されることで、致死的CRSからの防御が得られた。全身性または副腎特異的にSR-BI欠損するマウスでは、CD3抗体に対するGCの産生が損なわれ、より重篤なCRSおよび高い死亡率がみとめられた。一方、低用量のGCの前投与は、T細胞のアポトーシスを通じた機能障害も生じさせることなく、SR-BI欠損マウスにおけるCRSの発症を効果的に抑制し、生存率を改善した。これらの知見は、RAIが治療誘導性のCRSに対するリスク因子かもしれないこと、さらに、RAI患者にGCを前投与することで致死的なCRSを予防できる可能性があることを示唆している。

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