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オキシステロール受容体GPR183によって調節される遊走はアレスチン共役に依存するが受容体内部移行は依存しない

Migration mediated by the oxysterol receptor GPR183 depends on arrestin coupling but not receptor internalization

Research Article

SCIENCE SIGNALING
4 Apr 2023 Vol 16, Issue 779
[DOI: 10.1126/scisignal.abl4283]

Viktoria M. S. Kjær1, Viktorija Daugvilaite1, †, Tomasz M. Stepniewski2, 3, 4, Christian M. Madsen1, †, Astrid S. Jørgensen1, Kaustubh R. Bhuskute5, Asuka Inoue6, Trond Ulven5, Tau Benned-Jensen1, ‡, Siv A. Hjorth1, 7, Gertrud M. Hjortø1, Ee Von Moo5, Jana Selent2, Mette M. Rosenkilde1, *

  1. 1 Department of Biomedical Sciences, Faculty of Health and Medical Sciences, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark.
  2. 2 Research Programme on Biomedical Informatics (GRIB), Hospital del Mar Medical Research Institute (IMIM)--Pompeu Fabra University (UPF), Barcelona 08003, Spain.
  3. 3 InterAx Biotech AG, Villigen 5234, Switzerland.
  4. 4 Faculty of Chemistry, Biological and Chemical Research Centre, University of Warsaw, Warsaw 02-089, Poland.
  5. 5 Department of Drug Design and Pharmacology, Faculty of Health and Medical Sciences, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark.
  6. 6 Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University, Sendai 980-8578, Japan.
  7. 7 Center for Basic Metabolic Research, Faculty of Health and Medical Sciences, University of Copenhagen, Copenhagen, Denmark.

* Corresponding author. Email: rosenkilde@sund.ku.dk

† Present address: Novo Nordisk A/S, 2880 Bagsvard, Denmark.

‡ Present address: Lundbeck, Copenhagen, Denmark.

走化性に必要となる注目のアレスチン相互作用

GPR183は、7α,25-OHCなどのオキシステロールをリガンドとするGPCRであり、多様な免疫細胞の遊走とリンパ組織におけるそれらの適切な位置決めを調節する。GPR183はインスリン分泌や抗体反応などの生理学的過程への関与に加えて、がん、神経変性疾患、炎症性疾患にも関連し、重要な治療標的となっている。Kjærらは、多様なリガンドに応答した細胞内でのGPR183機能のシグナル伝達と調節の特徴を解析した。他の多くの走化性GPCRとは異なり、GPR183の内部移行はβアレスチンに依存しなかった。さらに、GPR183は、クラスリンではなくカベオラと相互作用してリガンド誘導性の内部移行を起こし、7α,25-OHCに依存した走化性にはβアレスチンを必要とした。まとめると、これらの知見は、さまざまな状況におけるGPR183活性の特異的作用を標的としうるリガンドの開発の助けになるだろう。--JFF

要約

走化性Gタンパク質共役受容体GPR183と、GPR183の最も強力な内在性オキシステロールリガンドである7α,25-ジヒドロキシコレステロール(7α,25-OHC)は、二次リンパ組織における免疫細胞の配置に重要である。この受容体-リガンド対は多様な疾患に関連し、有利に関与することもあれば不利に関与することもあるため、GPR183は治療介入の魅力的な標的となっている。われわれは、GPR183の内部移行の基礎となる機構と、GPR183の主要な生物学的機能である走化性における内部移行の役割を調べた。そして、GPR183のC末端が、リガンド誘導性の内部移行にとっては重要であるが、恒常的な(リガンド非依存性の)内部移行にはそれほど重要でないことを明らかにした。βアレスチンは、リガンド誘導性の内部移行を増強したが、リガンド誘導性または恒常性の内部移行に必要ではなかった。カベオリンおよびダイナミンは、Gタンパク質の活性化に依存しない機構において、恒常性とリガンド誘導性の両方の受容体内部移行の主要なメディエーターであった。また、クラスリンに調節されるエンドサイトーシスも、βアレスチンに依存しない形で恒常性のGPR183内部移行に関与したことから、表面に局在化したGPR183の別のプールの存在が示唆された。GPR183によって調節される走化性は、βアレスチンによる受容体の脱感作に依存したが、内部移行とは無関係であったことから、βアレスチンをGPR183へ動員するための重要な生物学的役割が浮き彫りとなった。内部移行と走化性に特有の経路が担う役割は、特異的な病状に対処するためのGPR183標的薬を開発するうえで助けになる可能性がある。

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