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眠りが浅い?もっとタンパク質を摂取しなさい
Light sleeper? Eat more protein
SCIENCE SIGNALING
4 Apr 2023 Vol 16, Issue 779
[DOI: 10.1126/scisignal.adh9952]
Leslie K. Ferrarelli
Science Signaling , AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: lferrare@aaas.org
I. Titos, A. Juginović, A. Vaccaro, K. Nambara, P. Gorelik, O. Mazor, D. Rogulja, A gut-secreted peptide suppresses arousability from sleep. Cell 186, 1-16 (2023).
高タンパク食が、ドパミン神経刺激ペプチドの消化管分泌によって深い眠りを促す可能性がある。
われわれはみな、睡眠の浅い段階と深い段階を繰り返すが、人によっては、夜間のごくわずかな音や動きによって目が覚めてしまうこともある。このような眠りの浅い人は、目覚めたときに睡眠不足だと感じる可能性が高く、これが精神的および身体的健康やその他多くのことにマイナスの影響を及ぼす。この現象には多数の因子が寄与している可能性がある。Titosらは、タンパク質の多い食事が、感覚覚醒を抑えるペプチドの分泌を誘導することによって、深く回復的な睡眠を促す可能性があることを示している。RNA干渉スクリーニングにおいて、ハエは、ペプチドのCCHa1またはその受容体が欠損すると、睡眠中の振動に対してより敏感になった。これらのハエでは、睡眠の断片化の増加、眠りにつくまでの時間の延長、全体の睡眠時間の減少も認められた。条件的欠失により、感覚覚醒は消化管由来のCCHa1によって調節される一方、睡眠の定着とタイミングは神経系由来のCCHa1によって調節されることが示唆された。タンパク質を補った食事を与えたハエでは、消化管のCCHa1量が増加したが、脂肪または糖質を補った食事を与えたハエではそのような増加は認められなかった。この増加は、タンパク食へのアクセスをより長時間与えられたハエのほうが大きく(24時間と6時間のみとの比較)、睡眠からの覚醒を減少させた。CCHa1を消化管特異的に欠失させる、または脳の報酬中枢内のドパミン作動性神経から選択的にCCHa1受容体を除去すると、この効果は弱まった。面白いことに、熱によって誘導される覚醒は、別個のまだ同定されていない経路によって仲介されると考えられた。ハエと同様に、タンパク質の多い食事を与えたマウスも、機械的刺激によって目覚めにくくなったが、高糖質食を与えたマウスではそのような影響は認められなかったことから、このタンパク質によって刺激される腸-脳軸が、哺乳類において保存されている可能性が示唆された。