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TRIM55はp100のユビキチン化とプロセシングを調整することによって非標準NF-κBシグナル伝達とB細胞媒介性の免疫応答を促進する

TRIM55 promotes noncanonical NF-κB signaling and B cell-mediated immune responses by coordinating p100 ubiquitination and processing

Research Article

SCIENCE SIGNALING
10 Oct 2023 Vol 16, Issue 806
[DOI: 10.1126/scisignal.abn5410]

Liangbin Lin1, †, Hui Yu1, *, Li Li1, †, Wenyong Yang1, Xueying Chen1, Yanqiu Gong2, Qingqiang Lei1, Zhonghan Li3, Zhaocai Zhou4, 5, Lunzhi Dai2, Huiyuan Zhang1, *, Hongbo Hu1, 6, 7, *

  1. 1 Center for Immunology and Hematology, Department of Biotherapy, Cancer Center and State Key Laboratory of Biotherapy, West China Hospital, Sichuan University, Chengdu 610041, China.
  2. 2 Department of General Practice, State Key Laboratory of Biotherapy, West China Hospital, Sichuan University, Chengdu 610041, China.
  3. 3 School of Life Science, Sichuan University, Chengdu 610041, China.
  4. 4 State Key Laboratory of Genetic Engineering, School of Life Sciences, Fudan University, 2005 Songhua Road, Shanghai 200438, China.
  5. 5 Department of Medical Ultrasound, Shanghai Tenth People's Hospital, Tongji University School of Medicine, Shanghai 200092, China.
  6. 6 Chongqing International Institute for Immunology, Chongqing 401338, China.
  7. 7 Shanghai Chest Hospital, Shanghai Jiao Tong University School of Medicine, Shanghai 200025, China.

* Corresponding author. Email: hyzhang@scu.edu.cn (H.Z.); hongbohu@scu.edu.cn (H.H.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

非標準NF-κB経路は、B細胞による抗体に基づいた免疫応答にとって重要である。Linらは、E3ユビキチンリガーゼTRIM55が、非標準NF-κBシグナル伝達の活性化に不可欠な段階である前駆体p100からの転写因子p52の生成にとってきわめて重要であることを明らかにした。TRIM55は、p100のユビキチン化を調整し、ユビキチン化されたp100をp52へとプロセシングするタンパク質複合体の形成を促進した。B細胞特異的にTRIM55を欠損させると、抗体産生と胚中心形成が損なわれただけでなく、全身性ループス様疾患からマウスが保護された。このように、TRIM55は非標準NK-κB経路の活性を亢進し、自己免疫疾患の治療の標的候補となり得る。—Wei Wong

要約

ユビキチン化に依存したNF-κB2(p100としても知られる)のプロセシングは、非標準NF-κB経路の活性化において、きわめて重要な段階である。われわれは、この過程を制御する分子機構を調べ、TRIM55がp100のユビキチン化を介してp100のプロセシングを調整するE3ユビキチンリガーゼであることを明らかにした。TRIM55を欠損させると、非標準NF-κBの活性化とB細胞機能が損なわれた。B細胞特異的にTrim55を欠損させたマウスでは、胚中心形成と抗体産生の減少がみられた。これらのマウスは、対照マウスに比べて、全身性ループス様疾患を誘発させた際の症状の重症度が低かったことから、液性免疫応答と自己免疫におけるB細胞固有のTRIM55機能が示唆された。機構的に、TRIM55によって調節されるp100のユビキチン化は、プロテアソームによるユビキチン依存性のタンパク質分解を調節するATPアーゼであるVCPによるp100のプロセシングにとって、きわめて重要である。さらに、われわれはTRIM55が、TRIM21とVCPとの相互作用だけでなく、TRIM21に媒介されるVCPのK63ユビキチン化も促進することを明らかにした。この2つはいずれも、VCP-UFD1-NPL4複合体の形成とp100プロセシングにとって不可欠である。まとめると、今回の結果は、TRIM55がp100プロセシングを微調整し、in vivoにおけるB細胞依存性の免疫応答を制御する機構を明らかにし、ループス様疾患の治療標的の候補としてTRIM55に光を当てるものである。

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