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膜近位モチーフがI型インターフェロン受容体とIII型インターフェロン受容体のシグナル伝達強度の違いをコードする

Membrane-proximal motifs encode differences in signaling strength between type I and III interferon receptors

Research Article

SCIENCE SIGNALING
10 Oct 2023 Vol 16, Issue 806
[DOI: 10.1126/scisignal.adf5494]

Emily V. Mesev1, Aaron E. Lin1, Emma G. Guare1, Brigitte L. Heller1, Florian Douam2, 3, Britt Adamson1, 4, Jared E. Toettcher1, 5, *, Alexander Ploss1, *

  1. 1 Department of Molecular Biology, Princeton University, Princeton, NJ 08544, USA.
  2. 2 Department of Microbiology, Boston University Chobanian and Avedisian School of Medicine, Boston, MA 02118, USA.
  3. 3 National Emerging Infectious Diseases Laboratories, Boston University, Boston, MA 02118, USA.
  4. 4 Lewis Sigler Center for Integrative Genomics, Princeton University, Princeton, NJ 08544, USA.
  5. 5 Omenn-Darling Bioengineering Institute, Princeton University, Princeton, NJ 08544, USA.

* Corresponding author. Email: toettcher@princeton.edu (J.E.T.); aploss@princeton.edu (A.P.)

Editor's summary

I型インターフェロン(IFN)とIII型IFNは、異なる受容体を介して作用するが、同一の下流キナーゼおよびエフェクターを活性化する。Mesevらは、IFN受容体の細胞内ドメインとEPO受容体の細胞外領域をもつキメラ受容体を用いて、I型受容体がIII型受容体より強力にシグナルを伝達する理由を検討した。EPOに応答して、I型IFN受容体に基づくキメラ受容体のほうが大きなシグナル強度を示し、これは、I型IFN受容体とIII型IFN受容体とで異なる短いキナーゼ結合モチーフに起因した。これらの結果から、I型およびIII型IFN受容体の細胞内ドメインが、シグナル強度をコードし、異なる応答を促進することが示唆される。—John F. Foley

要約

インターフェロン(IFN)は抗ウイルス防御に重要な役割を果たす。I型IFN受容体とIII型IFN受容体は、同一のヤヌス活性化キナーゼ(JAK)-シグナル伝達兼転写活性化因子(STAT)シグナル伝達カスケードを利用するにもかかわらず、STATリン酸化、遺伝子転写、抗ウイルス応答に関するシグナル伝達の大きさとダイナミクスが異なる。これらの違いは、リガンド結合親和性や受容体存在量によるものではない。今回われわれは、IFN受容体の細胞内ドメイン(ICD)が、I型IFNとIII型IFNのシグナル伝達を識別する能力を検討した。ヒト細胞において同程度の量で安定的に発現し、共通のリガンドに応答する、合成ヘテロ二量体I型およびIII型IFN受容体を作製した。われわれが作製した合成I型IFN受容体は、対応するIII型IFN受容体と比較して、STATリン酸化と遺伝子発現をより強く活性化することがわかった。さらに、ICD内の、JAK1に結合する短い「ボックスモチーフ」が同定され、これがI型IFN受容体とIII型IFN受容体の違いをコードするために十分であった。総合すると、われわれの結果は、IFN受容体サブユニットのICD内の特異的領域が、異なる下流シグナル伝達強度をコードし、I型IFN受容体とIII型IFN受容体が異なるシグナル伝達結果を生み出せるようにすることを示している。

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