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進行性前立腺がんにおけるJNKに媒介されたNotch機能喪失の保存された機構

A conserved mechanism for JNK-mediated loss of Notch function in advanced prostate cancer

Research Article

SCIENCE SIGNALING
7 Nov 2023 Vol 16, Issue 810
[DOI: 10.1126/scisignal.abo5213]

Cheng-Wei Wang1, 2, †, Marie Clémot1, 2, *, †, Takao Hashimoto1, Johnny A. Diaz1, Lauren M. Goins1, Andrew S. Goldstein1, 3, 4, 5, 6, Raghavendra Nagaraj1, *, Utpal Banerjee1, 2, 4, 6, *

  1. 1 Department of Molecular, Cell and Developmental Biology, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA, USA.
  2. 2 Department of Biological Chemistry, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA, USA.
  3. 3 Department of Urology, David Geffen School of Medicine, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA, USA.
  4. 4 Eli and Edythe Broad Center of Regenerative Medicine and Stem Cell Research, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA, USA.
  5. 5 Jonsson Comprehensive Cancer Center, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA, USA.
  6. 6 Molecular Biology Institute, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA, USA.

* Corresponding author. Email: mclemot@ucla.edu (M.R.); rchavour@ucla.edu (R.N.); banerjee@mbi.ucla.edu (U.B.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

Notchシグナル伝達は、細胞の増殖、分化、生存に影響するため、前立腺がんの進行において、顕著だが状況依存的な役割を果たす。Wangらは、ショウジョウバエ(Drosophila)の腫瘍モデルを用いて、腫瘍におけるNotchシグナル伝達の調節因子を同定した。キナーゼJNKを活性化させると、Notch活性に必要なプロテアーゼの発現が阻害され、結果として不活性型Notchが蓄積したが、JNKを阻害すると、Notchシグナル伝達が回復した。進行性ヒト前立腺がんの患者から採取した検体では、JNK活性の高さとNotch活性の低さに相関が認められたことから、Notchの腫瘍抑制性の役割が裏付けられた。このように、JNKシグナル伝達の抑制は、一部の進行性前立腺がんの腫瘍においてNotch活性を回復させる。—Amy E. Baek

要約

Notchシグナル伝達の調節不全はがんによくみられる特徴だが、Notchは多様ながんにおいて発がん性または腫瘍抑制性のいずれかの機能を有するため、腫瘍の発生と進行に対するNotchの影響は非常に多様である。がんにおけるNotchの機能を制御する機構についてより深く理解するために、われわれはショウジョウバエ(Drosophila)の腫瘍モデル、前立腺がん由来の細胞株、進行性前立腺がん患者から採取した組織検体におけるNotchシグナル伝達を研究した。そして、Notch活性にとってきわめて重要なNotch S2切断プロテアーゼKuzbanianをコードする遺伝子の発現がJNK経路を介して阻害されるため、腫瘍においてSrc-JNK経路の活性が高まるとNotchシグナル伝達が不活性化されることが示された。結果的に、不活性型Notchが細胞内に蓄積し、その状況では腫瘍抑制活性をもつタンパク質が多く含まれる、Notchの標的タンパク質をコードする遺伝子を転写することができなかった。これらの知見は、腫瘍におけるSrc-JNK活性がNotchの活性状態の予測因子であることと、Src-JNKシグナル伝達を抑制すると腫瘍におけるNotchの機能が回復する可能性があることを示しており、進行性前立腺がん患者のサブセットに診断と標的治療の機会を与えるものである。

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