• ホーム
  • パルミトイル化Sept8-204が糸状仮足の分枝とアクチンの動力学を制御することによって学習と不安を調節する

パルミトイル化Sept8-204が糸状仮足の分枝とアクチンの動力学を制御することによって学習と不安を調節する

Palmitoylated Sept8-204 modulates learning and anxiety by regulating filopodia arborization and actin dynamics

Research Article

SCIENCE SIGNALING
5 Dec 2023 Vol 16, Issue 814
[DOI: 10.1126/scisignal.adi8645]

Huicong Liu1, 2, †, Peipei Yan1, 2, †, Can Wu2, Muding Rao2, Jiangli Zhu3, Luxian Lv1, Wenqiang Li1, Yinming Liang2, Shiqian Qi3, Kefeng Lu4, Eryan Kong1, 2, *

  1. 1 Second Affiliated Hospital of Xinxiang Medical University, Xinxiang 453003, China.
  2. 2 Institute of Psychiatry and Neuroscience, Xinxiang Key Laboratory of Protein Palmitoylation and Major Human Diseases, Xinxiang Medical University, Xinxiang 453003, China.
  3. 3 Department of Urology, State Key Laboratory of Biotherapy and Cancer Center, West China Hospital, Sichuan University and National Collaborative Innovation Center, Chengdu 610041, China.
  4. 4 Department of Neurology, State Key Laboratory of Biotherapy, West China Hospital, Sichuan University, Chengdu 610065, China.

* Corresponding author. Email: eykong2012@163.com

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

パルミトイル化は、神経機能にとって重要なタンパク質の安定性と局在性を制御する。Liuらは、シナプスタンパク質Sept8-204のパルミトイル化が、学習と記憶に関連する海馬ニューロンの形態変化を促進することを明らかにした。マウスにおいて、3つのシステイン部位をS-パルミトイル化すると、Sept8-204とアクチン細胞骨格との相互作用が促進され、樹状突起の伸長と分枝を可能にして認知を増進した。Sept8-204またはSept8-204のパルミトイル化を調節する酵素を欠損させたマウスでは、学習と記憶が欠損し、不安様行動がみられた。これらの知見は、棘突起形成と認知におけるこの脂質修飾についてのわれわれの理解を深めるものである。—Leslie K. Ferrarelli

要約

セプチンタンパク質は、特殊な細胞骨格構造の形成など、多様な生理学的機能に関与する。セプチン8(Sept8)は、パルミトイル化を介して棘突起の形態形成と樹状突起の分枝に関与する。われわれは、ヒト神経様細胞とマウス脳におけるSept8バリアントの役割と制御について調べた。そして、ニューロン内に豊富に存在し、Cys469、Cys470、Cys472の特異的なパルミトイル化によって調節される、脳特異的なSept8バリアントとしてSept8-204を同定した。Sept8-204のパルミトイル化は、パルミトイルトランスフェラーゼZDHHC7によって媒介され、脱パルミトイル化酵素PPT1によって除去された。Sept8-204をパルミトイル化すると、F-アクチンに結合し、細胞骨格の動力学を誘導してN2a細胞の糸状仮足の伸長と海馬ニューロンの神経突起の分枝を促進した。対照的に、3つすべてのCys残基の変異(Sept8-204-3CA)のせいでパルミトイル化できないSept8-204バリアントは、F-アクチンに結合する能力を失い、この変異体を発現させても形態変化は促進されなかった。マウスにおいてSept8Sept8-204、またはZdhhc7を遺伝学的に欠損させると、学習と記憶の欠損が引き起こされ、不安様行動が促進された。われわれの知見は、パルミトイル化によるSept8-204の制御と、認知に関連する神経の形態と機能におけるその役割について、より深い洞察を与えるものである。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2023年12月5日号

Editors' Choice

β-アミロイドの除去に向けて

Research Article

STAT3のパルミトイル化はマウスの肝細胞がん細胞の悪性度を高める正のフィードバックループを開始する

パルミトイル化Sept8-204が糸状仮足の分枝とアクチンの動力学を制御することによって学習と不安を調節する

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する