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ATAF1とHY5による協調的な転写制御がシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の光誘導子葉展開を促進する

Cooperative transcriptional regulation by ATAF1 and HY5 promotes light-induced cotyledon opening in Arabidopsis thaliana

Research Article

SCIENCE SIGNALING
2 Jan 2024 Vol 17, Issue 817
[DOI: 10.1126/scisignal.adf7318]

Xiuhong Yao1, 2, †, Ke Fang1, †, Kang Qiao1, †, Jiawei Xiong1, Jiayi Lan1, Juan Chen1, Yuang Tian1, Xinke Kang1, Wei Lei1, Dawei Zhang1, *, Honghui Lin1, *

  1. 1 Ministry of Education Key Laboratory for Bio-Resource and Eco-Environment, College of Life Sciences, State Key Laboratory of Hydraulics and Mountain River Engineering, Sichuan University, Chengdu 610064, China.
  2. 2 Solid-State Fermentation Resource Utilization Key Laboratory of Sichuan Province, Department of Agriculture Forestry and Food Engineering, Yibin University, Yibin 644000, China.

* Corresponding author. Email: zhdawei@scu.edu.cn (D.Z.); hhlin@scu.edu.cn (H.L.)

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

実生は暗闇では急速に伸びるが、光に晒されると成長が遅くなり、子葉(胚性葉)が開く。Yaoらは、遠赤色光に応答してこれらの変化を刺激する、光によって調節される転写因子のネットワークを同定した。シロイヌナズナ(Arabidopsis)の実生を遠赤色光に曝露すると、フィトクロムAと転写因子HY5が刺激され、転写因子ATAF1の発現が誘導された。ATAF1とHY5の協調により、実生の伸長を促進し、子葉の閉鎖を維持する遺伝子の発現が抑制された。これらの知見は、実生が光に達したときに成長を遅らせ、子葉展開を刺激する複雑な転写因子のネットワークを明らかにする。—Annalisa M. VanHook

要約

実生が暗い土壌から光の中に現れるときに、胚性葉(子葉)が開くことは、植物の生存を確保するために非常に重要である。暗所で発芽した実生は光に到達するために急速に伸びるが、子葉は閉じたままである。脱黄化、暗から明への成長移行時に、伸長が遅くなり、子葉が開く。今回われわれは、転写因子ACTIVATING FACTOR1(ATAF1)が脱黄化に関与し、光誘導子葉展開を促進することを報告する。暗から明への移行により、子葉におけるATAF1の発現およびATAF1の蓄積が急速に誘導された。ATAF1を欠損または過剰発現する実生は、それぞれ子葉展開の減少または増加を示し、トランスクリプトーム解析により、ATAF1が成長および子葉閉鎖に関連する遺伝子の発現を抑制することが示された。遠赤色光による光受容体フィトクロムA(phyA)の活性化は、ATAF1プロモーターとの結合およびATAF1の発現の刺激を誘導した。転写因子ELONGATED HYPOCOTYL5(HY5)も遠赤色光に応答して活性化され、phyAと協調してATAF1の発現を誘導した。ATAF1とHY5は相互作用し、成長促進遺伝子と子葉閉鎖遺伝子の発現を協調的に抑制した。合わせると、われわれの研究は、遠赤色光が子葉展開を促進する機構を明らかにした。

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2024年1月2日号

Research Article

ATAF1とHY5による協調的な転写制御がシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)の光誘導子葉展開を促進する

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Reviews

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