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プレキシン-A4シグナル伝達モチーフの下流での低分子量GTPアーゼのバランス調整が、哺乳類の皮質ニューロンにおける樹状突起の形成を促進する

Balancing act of small GTPases downstream of plexin-A4 signaling motifs promotes dendrite elaboration in mammalian cortical neurons

Research Article

SCIENCE SIGNALING
16 Jan 2024 Vol 17, Issue 819
[DOI: 10.1126/scisignal.adh7673]

Oday Abushalbaq1, Jiyeon Baek1, Avraham Yaron2, Tracy S. Tran1, *

  1. 1 Department of Biological Sciences, Rutgers University, Newark, NJ 07102, USA.
  2. 2 Department of Biomolecular Sciences and Department of Molecular Neuroscience, Weizmann Institute of Science, Rehovot 76100, Israel.

* Corresponding author. Email: tstran@rutgers.edu

Editor's summary

神経発生はガイダンスキューにより厳密に調節されている。ガイダンスキューである受容体プレキシン-A4は、GTPアーゼのシグナル伝達を調節し、神経突起の伸長と神経回路の形成を誘導している。Abushalbaqらは、GTPアーゼであるRnd1がどのようにして、プレキシン-A4を介した神経突起の伸長を促進しているかを明らかにした。ガイダンスキューであるセマフォリン3Aはプレキシン-A4に対するRnd1の結合を誘導し、この相互作用がRnd1を刺激していた。培養下のニューロンおよびマウス脳において、Rnd1シグナル伝達は、神経突起の伸長に対して正反対の作用をもつ2つのプレキシン-A4結合GTPアーゼに及ぼす正味の影響から、樹状突起の分岐形成を促進していた。これらの知見から、このガイダンス受容体とGTPアーゼシグナル伝達との相互作用について理解が拡がり、その詳細が明らかになった。—Leslie K. Ferrarelli

要約

ニューロンの形態の正確な発達は、シナプス回路の確立、ひいては適切な脳の機能にとって不可欠である。軸索ガイダンスキューであるセマフォリン3A(Sema3A)と、その受容体であるニューロピリン-1とプレキシン-A4の複合体によるシグナル伝達は、ニューロンの形態形成に多機能的に働いている。プレキシン-A4のリジン-アルギニン-リジンモチーフとの相互作用を通じたRhoGEF FARP2の下流での活性化、およびそれによる低分子量GTPアーゼRac1の活性化は、樹状突起の分枝を促進するが、この経路は軸索反発に必須ではない。本稿でわれわれは、マウス大脳皮質第V層の皮質ニューロンを用い、Sema3Aを介した樹状突起の形成の背景にある低分子量GTPアーゼシグナル伝達機構の相互作用をin vitroおよびin vivoで検討した。Sema3Aは、低分子量GTPアーゼRnd1と、プレキシン-A4の細胞質ドメイン中のアミノ酸モチーフであるリジン-バリン-セリン(LVS)との結合を促進した。Rnd1は、低分子量GTPアーゼRhoAとキナーゼROCKの活性を阻害し、これがGTPアーゼRac1の活性を支持して、樹状突起の伸長と分岐形成を可能にした。ドミナントネガティブRhoAもしくは恒常的活性化型Rac1の過剰発現、またはROCK活性の薬理学的阻害は、LVSモチーフを欠損しているプレキシン-A4変異体を発現しているニューロンの、樹状突起形成の欠損を回復させた。これらの知見から、これまで認識されていなかった、哺乳類の皮質ニューロンの発生においてプレキシン-A4の特定モチーフの下流で生じてSema3A依存性のニューロンの発生を媒介する、RhoとRacシグナル伝達の間のバランス調整に関して、洞察が得られた。

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