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TNF-αはITK-Akt-mTORを介してシグナルを伝達し、CD4+ T細胞の代謝リプログラミングを促進するが、関節リウマチではこの過程が調節不全に陥っている

TNF-α signals through ITK-Akt-mTOR to drive CD4+ T cell metabolic reprogramming, which is dysregulated in rheumatoid arthritis

Research Article

SCIENCE SIGNALING
23 Apr 2024 Vol 17, Issue 833
[DOI: 10.1126/scisignal.adg5678]

Emma L. Bishop1, Nancy Gudgeon1, Taylor Fulton-Ward1, 2, Victoria Stavrou1, Jennie Roberts2, Adam Boufersaoui2, Daniel A. Tennant2, Martin Hewison2, Karim Raza3, 4, Sarah Dimeloe1, 2, *

  1. 1 Institute of Immunology and Immunotherapy, University of Birmingham, B15 2TT Birmingham, UK.
  2. 2 Institute of Metabolism and Systems Research, University of Birmingham, B15 2TT Birmingham, UK.
  3. 3 Research into Inflammatory Arthritis Centre Versus Arthritis, Institute of Inflammation and Ageing, University of Birmingham, B15 2TT Birmingham, UK.
  4. 4 Sandwell and West Birmingham NHS Trust, B18 7QH Birmingham, UK.

* Corresponding author. Email: s.k.dimeloe@bham.ac.uk

Editor's summary

T細胞は抗原刺激を受けると増殖し、エフェクター機能を獲得するが、この過程は代謝リプログラミングを要する。Bishopらは、分化中のナイーブヒトCD4+ T細胞がサイトカインのTNF-αを放出し、TNF-αが、AktおよびmTORシグナル伝達を刺激することによって、CD4+ T細胞の代謝変化を増幅することを見出した。健康なドナーから得たCD4+ T細胞と比較して、関節リウマチ患者から得たCD4+ T細胞は多くのTNF-αを産生し、Akt活性化が亢進し、炎症細胞サブセット内のミトコンドリア集団が増加していた。これらの結果から、慢性炎症時にはTNF-αを介する代謝リプログラミングが調節不全に陥っていることが示唆される。—John F. Foley

要約

T細胞は活性化すると、クローン性増殖およびエフェクター機能の生体エネルギー需要を満たすために、代謝リプログラミングを起こす。関節リウマチ(RA)などの慢性炎症性疾患においては、T細胞のサイトカイン産生と代謝表現型の調節不全が共存するため、われわれは、分化T細胞から放出される炎症性サイトカインが、それらの細胞の代謝変化を増幅するかどうかを検討した。ヒトナイーブCD4+ T細胞から活性化時に放出される腫瘍壊死因子-α(TNF-α)が、代謝トランスクリプトームの発現を刺激し、解糖、アミノ酸取り込み、ミトコンドリアのグルタミン酸化、ミトコンドリア新生を増加させることが見出された。TNF-αの作用は、キナーゼITKによるAkt-mTORシグナル伝達の活性化を介して発現し、NF-κB経路を必要としなかった。TNF-αは、ナイーブ細胞から炎症促進性の1型ヘルパーT(TH1)細胞およびTH17細胞への分化を刺激したが、制御性T細胞への分化は刺激しなかった。RA患者から得たCD4+ T細胞では、活性化時のTNF-α産生と、その結果であるAktリン酸化が増加していた。これらの細胞において、疾患に関与する炎症促進性T細胞サブセット内でとくに、ミトコンドリア集団の増加も認められた。総合すると以上の結果から、T細胞に由来するTNF-αが、ITK、AktおよびmTORを介するシグナル伝達を促進することによって、代謝リプログラミングを促進するが、自己炎症性疾患ではこの過程が調節不全に陥っていることが示唆される。

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