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DCLK1は腫瘍形成促進性の表現型を誘導して胃がんの進行を駆動する

DCLK1 induces a pro-tumorigenic phenotype to drive gastric cancer progression

Research Article

SCIENCE SIGNALING
17 Sep 2024 Vol 17, Issue 854
[DOI: 10.1126/scisignal.abq4888]

Shoukat Afshar-Sterle1, 2, Annalisa L.E. Carli1, 2, Ryan O'Keefe1, 2, Janson Tse1, 2, Stefanie Fischer1, 2, Alexander I. Azimpour1, 2, David Baloyan1, 2, Lena Elias1, 2, Pathum Thilakasiri1, 2, Onisha Patel3, 4, Fleur M. Ferguson5, Moritz F. Eissmann1, 2, Ashwini L. Chand1, 2, Nathanael S. Gray6, Rita Busuttil7, 8, Alex Boussioutas7, 8, Isabelle S. Lucet3, 4, Matthias Ernst1, 2, †, Michael Buchert1, 2, †, *

  1. 1 Cancer and Inflammation Laboratory, Olivia Newton-John Cancer Research Institute, Heidelberg, VIC, Australia.
  2. 2 School of Cancer Medicine, La Trobe University, Bundoora, VIC, Australia.
  3. 3 ACRF Chemical Biology Division, Walter and Eliza Hall Institute of Medical Research, Parkville, VIC, Australia.
  4. 4 Department of Medical Biology, University of Melbourne, Parkville, VIC, Australia.
  5. 5 Department of Chemistry and Biochemistry and the Skaggs School of Pharmacy and Pharmaceutical Sciences, University of California San Diego, La Jolla, CA, USA.
  6. 6 Department of Chemical and Systems Biology, Stanford Cancer Institute, Stanford University, Stanford, CA, USA.
  7. 7 Central Clinical School, Monash University, Melbourne, VIC, Australia.
  8. 8 Department of Gastroenterology, Alfred Hospital, Melbourne, VIC, Australia.
  9. * Corresponding author. Email: michael. buchert@onjcri.org.au
  10. These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

セリン/スレオニンキナーゼのDCLK1は、胃がんの進行に関連するがん幹細胞マーカーと推定されている。Afshar-Sterleらは、DCLK1のキナーゼドメインの変異またはキナーゼ活性の阻害により、腫瘍の増殖、間質リモデリングマーカーの存在量、上皮間葉転換(EMT)の誘導が減少することを見出した。DCLK1の腫瘍内因性および外因性の作用は、CXCL12量の増加に少なくとも部分的に依存し、CXCL12はDCLK1の存在量と相関し、DCLK1の下流で作用した。これらの結果は、胃がんの進行の決定にDCLK1が機構的に寄与することを明らかにしている。—Amy E. Baek

要約

ダブルコルチン様キナーゼ1(DCLK1)は、胃がん(GC)のドライバーとして提唱されており、セリン残基とスレオニン残基をリン酸化する。今回われわれは、DCLK1のキナーゼ活性が、がん細胞内因性および外因性の過程を組織化し、浸潤促進性および転移促進性のGC細胞リプログラミングを引き起こすことを示した。DCLK1のキナーゼ活性の阻害により、マウスにおいてMKN1ヒト胃がん細胞から形成された皮下異種移植腫瘍の増殖が抑制され、間質マーカーであるα-Sma、ビメンチンおよびコラーゲンの存在量が減少した。同様の作用が、キナーゼ不活性型DCLK1変異体を発現するMKN1細胞(MKN1D511N)から形成された異種移植腫瘍を有するマウスでも認められた。MKN1D511N細胞は、対照細胞と比較して、in vitro遊走能および幹細胞性も低下していた。DCLK1を過剰発現するMKN1細胞(MKN1DCLK1)を同所性に移植したマウスでは、対照MKN1細胞を移植したマウスと比較して、浸潤性が増加し、肺転移の発生率が高かった。機構的には、培養MKN1細胞において、およびMKN1DCLK1細胞により形成された胃腫瘍を皮下移植したマウスにおいて、ケモカインのCXCL12がDCLK1の下流で作用することが示された。さらに、DCLK1のキナーゼ活性の阻害またはDCLK1D511Nの発現によって、腫瘍形成促進性および転移促進性の表現型が打ち消された。総合すると本研究は、DCLK1が、広範に作用する潜在的に標的化可能なGCのプロモーターであることを証明するものである。

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