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アリル炭化水素受容体はSTAT6のプロモーターへの結合を延長させることによって単球のインターロイキン4に対する転写反応を形づくる

The aryl hydrocarbon receptor shapes monocyte transcriptional responses to interleukin-4 by prolonging STAT6 binding to promoters

Research Article

SCIENCE SIGNALING
15 Oct 2024 Vol 17, Issue 858
[DOI: 10.1126/scisignal.adn6324]

Alba de Juan1, Darawan Tabtim-On1, Alice Coillard1, Burkhard Becher2, Christel Goudot1, Elodie Segura1, *

  1. 1 Institut Curie, PSL Research University, INSERM, U932, 26 rue d'Ulm, Paris, France.
  2. 2 Institute of Experimental Immunology, University of Zurich, 8057 Zurich, Switzerland.
  3. * Corresponding author. Email: elodie.segura@curie.fr

Editor's summary

アリル炭化水素受容体(AhR)は、さまざまな代謝産物や生体異物によって活性化される転写因子であり、免疫細胞の分化と機能を方向づけるサイトカインに対する免疫細胞の応答の仕方に影響を与える。de Juanらは、AhRの活性化がヒトおよびマウスの単球においてサイトカインであるインターロイキン4(IL-4)による転写物サブセットの誘導に必要であることを明らかにした。AhRを活性化させると、転写因子STAT6のIL-4誘導性の活性化が延長され、STAT6が前述の転写物のうちの1つをコードする遺伝子のプロモーターに結合する持続時間も延長された。これらの知見は、代謝産物や他のAhRリガンドがサイトカインに対する単球の応答に影響しうる機構を明らかにするものである。—Annalisa M. VanHook

要約

サイトカインは免疫細胞の機能的および代謝的適応を誘導するが、これは通常、他の細胞外シグナルや細胞内因子に影響されうる転写応答を介している。サイトカインであるインターロイキン4(IL-4)が受容体に結合すると、転写因子STAT6のリン酸化と活性化が誘導される。アリル炭化水素受容体(AhR)は、さまざまな内因性および微生物由来の代謝産物によって活性化される転写因子であり、危険シグナルや、サイトカインのような炎症性メディエーターに対する免疫細胞の応答を調整する。本稿でわれわれは、ヒトおよびマウスの単球において、AhRと、IL-4によって刺激されるシグナル伝達との間のクロストークについて調べた。AhRの活性化は、IL-4に誘導される転写応答サブセットに必要であり、IL-4に誘導される脂肪酸のβ酸化への代謝スイッチを阻害した。AhRに依存する形でIL-4により誘導される遺伝子のプロモーターには古典的なAhR結合部位がないことから、非ゲノム的なAhR作用機構が示唆される。機構的には、AhRが活性化すると、STAT6を標的として阻害するホスファターゼSHP-1の活性が抑制され、STAT6のリン酸化と特異的な標的座位への結合が延長され、結果としてSTAT6活性の持続時間が延長される。これらの結果は、単球においてIL-4への応答を分子制御する重要なプレーヤーとしてAhRを同定するものであり、AhRのリガンドが非ゲノム的機構を介してIL-4に対する細胞の機能的応答に影響を与える可能性を示唆している。

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