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eIF2キナーゼGCN2とp53シグナル伝達の間の協調が、プリン代謝と前立腺がんの進展を支持している

Coordination between the eIF2 kinase GCN2 and p53 signaling supports purine metabolism and the progression of prostate cancer

Research Article

SCIENCE SIGNALING
26 Nov 2024 Vol 17, Issue 864
[DOI: 10.1126/scisignal.adp1375]

Ricardo A. Cordova1, 2, †, Noah R. Sommers1, 2, †, Andrew S. Law3, 4, Angela J. Klunk1, Katherine E. Brady5, David W. Goodrich6, Tracy G. Anthony7, Jeffrey J. Brault3, 4, Roberto Pili8, Ronald C. Wek1, 2, *, Kirk A. Staschke1, 2, *

  1. 1 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN 46202, USA.
  2. 2 Indiana University Melvin and Bren Simon Comprehensive Cancer Center, Indianapolis, IN 46202, USA.
  3. 3 Department of Anatomy, Cell Biology, and Physiology, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN 46202, USA.
  4. 4 Indiana Center for Musculoskeletal Health, Indianapolis, IN 46202, USA.
  5. 5 Department of Biology, Indiana University School of Science, Indianapolis, IN 46202, USA.
  6. 6 Department of Pharmacology and Therapeutics, Roswell Park Comprehensive Cancer Center, Buffalo, NY 14203, USA.
  7. 7 Department of Nutritional Sciences and the New Jersey Institute for Food, Nutrition and Health, Rutgers University, New Brunswick, NJ 08901, USA.
  8. 8 Jacobs School of Medicine and Biomedical Sciences, Division of Hematology and Oncology, University at Buffalo, Buffalo, NY 14203, USA.
  9. * Corresponding author. Email: rwek@iu.edu (R.C.W.); kastasch@iu.edu (K.A.S.)
  10. These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

統合的ストレス応答(ISR)は、腫瘍細胞の組織環境への速やかな順応を可能にし、それにより細胞の生存と腫瘍進展を支持している。Cordovaらは、ISRキナーゼであるGCN2の阻害により、転写因子p53を欠損している前立腺がん細胞が死滅することを見いだした。GCN2の阻害は、プリンヌクレオチド合成に使用されるアミノ酸の供給量を減少させた。結果的に、このヌクレオチド欠乏は、細胞周期の停止と老化を誘導するp53シグナル伝達が働く状況でのみ生存可能であった。マウスでは、GCN2の阻害により、p53が機能している腫瘍の増殖速度が低下し、p53欠損腫瘍ではその程度がより大きく、細胞死を誘導した。p53の欠損は通常、腫瘍細胞を殺すことを困難にするが、これらの知見は、そのような変異を活かす方法を示唆している。—Leslie K. Ferrarelli

要約

がんは自身の増殖と進展を継続させるために、外的および内的ストレスを軽減するためのさまざま経路を発動する。われわれはこれまで、前立腺がん(PCa)においてeIF2キナーゼのGCN2と統合的ストレス応答が恒常的に活性化されていること、またこれらが腫瘍増殖を促進するために必要なアミノ酸恒常性の維持に必要であることを報告している。しかし、GCN2機能の喪失は細胞内アミノ酸の供給量を減少させて、PCaの増殖を低下させるものの、目に見えるほどの細胞死は起こらない。本稿でわれわれは、PCaにおけるGCN2の喪失が、老化促進性のp53シグナル伝達を誘導することを発見した。このp53の活性化は、GCN2阻害依存性のプリンヌクレオチド減少を介して生じ、これはリボソームの生合成を障害して、結果としてリボソーム生合成チェックポイントの障害を誘導した。p53シグナル伝達は、GCN2欠損PCa細胞の細胞周期停止および老化を誘導し、生存を促進した。PCa細胞株、オルガノイドおよび異種移植モデルにおいて、GCN2の枯渇と、p53欠損またはプリンde novo生合成の薬理学的阻害との組み合わせにより、細胞増殖が減少して細胞死が亢進した。本研究の知見は、栄養ストレス下でのGCN2とp53調節の間の協調的相互作用を浮き彫りにし、PCaに対する新たな治療戦略の開発においてそれらを標的とする方法に関する洞察をもたらすものである。

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