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グルタミン酸作動性のアルゴノート2がマウスにおいて神経血管ユニットの形成を促進する

Glutamatergic argonaute2 promotes the formation of the neurovascular unit in mice

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Feb 2025 Vol 18, Issue 875
DOI: 10.1126/scisignal.adl6745

Chandan Sona1, 2, †, Yu-Te Yeh1, 2, †, Yunxiao Li3, †, Xiaoxuan Liu4, Adhideb Ghosh5, Laura C. Hinte5, Min-Chi Ku6, Thomas Rathjen6, Thoralf Niendorf6, Guoxing Yu7, Shiqi Jia7, Natalia L. Kononenko8, Andreas Hermann3, 9, 10, Jiankai Luo3, 9, Juntang Lin4, Ferdinand von Meyenn5, Xin Yan3, 6, *, Matthew N. Poy1, 2, 6, *

  1. 1 All Children’s Hospital, Johns Hopkins University, St. Petersburg, FL 33701, USA.
  2. 2 Department of Medicine, Division of Endocrinology, Diabetes and Metabolism, Johns Hopkins University, Baltimore, MD 21287, USA.
  3. 3 Translational Neurodegeneration Section, “Albrecht Kossel,” University Medical Center Rostock, University of Rostock, Rostock 18147, Germany.
  4. 4 Stem Cell and Biotherapy Technology Research Center, School of Life Science and Technology, Xinxiang Medical University, Xinxiang 453003, China.
  5. 5 Laboratory of Nutrition and Metabolic Epigenetics, Department of Health Sciences and Technology, ETH Zürich, Schwerzenbach 8603, Switzerland.
  6. 6 Max Delbrück Center for Molecular Medicine in the Helmholtz Association, Robert Rössle Strasse 10, Berlin 13125, Germany.
  7. 7 Institutes of Biomedical Sciences, College of Life Sciences, Inner Mongolia University, Hohhot 010021, China.
  8. 8 CECA D Excellence Center & Center for Physiology and Pathophysiology, Faculty of Medicine and University Hospital Cologne, University of Cologne, Cologne 50931, Germany.
  9. 9 Center for Transdisciplinary Neurosciences Rostock (CTN R), University Medical Center Rostock, University of Rostock, Rostock 18147, Germany.
  10. 10 German Center for Neurodegenerative Diseases (DZNE) Rostock/Greifswald, Rostock 17489, Germany.
  11. † These authors contributed equally to this work.
  12. * Corresponding author. Email: mpoy1@jhmi.edu (M.N.P.); xin.yan@dzne.de (X.Y.)

Editor's summary

血液脳関門(BBB)は、神経血管ユニット(NVU)と呼ばれる複数の細胞からなる接触部で構成されており、NVUは脳における体液や栄養素の交換を媒介する。Sonaらは、興奮性ニューロンのホスファターゼPTENの存在量の厳密な制御が、マウスにおけるNVUの生後の発達にきわめて重要であることを見出した。グルタミン酸作動性ニューロンにおいてmRNA調節因子のAgo2を欠損したマウスでは、NVU発達が低下し、BBBの完全性が障害された。これらの影響は、Ago2依存性のPten抑制の喪失によって媒介され、ニューロンの生存と移動を支えるシグナル伝達の低下をもたらした。したがって、興奮性ニューロンのAgo2は、BBBの形成を介して脳の発達を支えている。—Leslie K. Ferrarelli

要約

血液脳関門に沿った複雑な神経血管ユニット(NVU)の適切な形成は、健康で機能的な中枢神経系の構築と維持のために不可欠である。RNA結合タンパク質のアルゴノート2(Ago2)は、NVUの発達を含む脳の発達の多数の側面にきわめて重要な、マイクロRNA(miRNA)を介する遺伝子サイレンシングをもたらす。今回われわれは、グルタミン酸作動性ニューロンのAgo2が、発達中のマウスの大脳皮質におけるNVU形成に不可欠であることを見出した。グルタミン酸作動性ニューロン特異的なAgo2欠損により、シナプス形成、ニューロンと内皮細胞の接触、脳血管系の形態形成が減少し、最終的に血液脳関門の完全性が低下した。Ago2は、ホスファターゼ・テンシン・ホモログ(Pten)mRNAへのmiRNA標的化を促進した。Pten mRNAがコードするホスファターゼは、グルタミン酸作動性亜集団内でリーリン依存性のホスファチジルイノシトール3-キナーゼ(PI3K)-Aktシグナル伝達を調節する。Ago2欠損ニューロンにおいてPtenを条件付きで欠失させると、Akt2リン酸化が回復するとともに、生後の発達と生存が回復した。AGO2のいくつかの変異は、小分子RNAサイレンシングを障害し、神経発達障害のLessel-Kreienkamp症候群に関連する。これらのヒトAGO2機能喪失型バリアントを神経細胞株に発現させると、PTENを抑制できず、結果としてPI3K-Aktシグナル伝達を減弱させたことから、Ago2機能の調節不全が、発達障害と神経疾患の両方に寄与する可能性がさらに示された。総合すると、これらの結果は、Ago2が発達中の脳におけるニューロンと血管の会合の中心であることを明らかにしている。

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