• ホーム
  • アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する

アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する

The acetyltransferase GCN5 contributes to neuroinflammation in mice by acetylating and activating the NF-κB subunit p65 in microglia

Research Article

SCIENCE SIGNALING
4 Mar 2025 Vol 18, Issue 876
DOI: 10.1126/scisignal.adp8973

Duk-Yeon Cho1, Jun-Hyuk Han1, 2, In-Su Kim1, 2, Ji-Hong Lim1, Hyun Myung Ko3, Byungwook Kim4, 5, *, Dong-Kug Choi1, 2, *

  1. 1 Department of Applied Life Science, Graduate School, BK21 Program, Konkuk University, Chungju 27478, Republic of Korea.
  2. 2 Department of Biotechnology, College of Biomedical and Health Science, and Research Institute of Inflammatory Disease (RID), Konkuk University, Chungju 27478, Republic of Korea.
  3. 3 Department of Life Science, College of Science and Technology, Woosuk University, Jincheon 27841, Republic of Korea.
  4. 4 Department of Medical and Molecular Genetics, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN46202, USA.
  5. 5 Stark Neuroscience Research Institute, Indiana University School of Medicine, Indianapolis, IN46202, USA.
  6. * Corresponding author. Email: bk18@iu.edu (B.K.); choidk@kku.ac.kr (D.-K.C.)

Editor's summary

アセチルトランスフェラーゼGCN5は、末梢組織の炎症を伴うさまざまな疾患に関係している。Choらは、GCN5が脳でも炎症を媒介することを発見し、このタンパク質が神経炎症性疾患の治療の標的となる可能性があることを示唆した。マウスでは、(感染を模倣するため)末梢で自然免疫応答を誘導すると、脳のミクログリアにおけるGCN5の存在量が選択的に増加した。GCN5は転写因子NF-κBのサブユニットをアセチル化し、その転写活性と炎症性サイトカインおよび関連タンパク質の産生を可能にした。マウスをGCN5阻害剤で処置するとこの応答が妨げられたことから、この手法が神経炎症性疾患の治療に利用できる可能性があることが示唆された。—Leslie K. Ferrarelli

要約

神経炎症は、さまざまな神経疾患や神経変性疾患の進行を促進する。タンパク質アセチル化の恒常性の乱れは神経変性に関係しており、リジンアセチルトランスフェラーゼGCN5(KAT2Aとしても知られる)は末梢炎症に関係している。ここでは、GCN5が脳の神経炎症に役割を果たしているかを調べた。マウスに細菌分子LPSを全身投与して末梢炎症を誘発すると、さまざまな臓器でGCN5の量が増加し、それには脳、特にミクログリアが含まれた。LPSに応答して、GCN5はミクログリアで炎症性サイトカインTNF-αとIL-6、および炎症メディエーターCOX-2とiNOSの誘導を媒介した。培養ミクログリア細胞においてさらに調べたところ、GCN5は自然免疫受容体TLR4の下流で活性化されてNF-κBサブユニットp65のLys310をアセチル化し、それによりNF-κBの核移行と転写活性を可能にし、結果として炎症反応を引き起こすことが明らかになった。したがって、関連疾患の治療において神経炎症を軽減する戦略として、GCN5を標的とすることがさらに研究されるであろう。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2025年3月4日号

Editors' Choice

胃がんを解明する

Research Article

アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する