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アミリン受容体サブユニットの相互作用はアゴニストによって調節されシグナル伝達を決定する

Amylin receptor subunit interactions are modulated by agonists and determine signaling

Research Article

SCIENCE SIGNALING
19 Aug 2025 Vol 18, Issue 900
DOI: 10.1126/scisignal.adt8127

Sandra E. Gostynska1, Jordan A. Karim1, Bailee E. Ford1, Peyton H. Gordon1, Katie M. Babin1, Asuka Inoue2, 3, Nevin A. Lambert4, Augen A. Pioszak1, *

  1. 1 Department of Biochemistry and Physiology, University of Oklahoma Health Sciences Center, Oklahoma City, OK 73104, USA.
  2. 2 Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University, Sendai 980-8578, Japan.
  3. 3 Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Kyoto University, Kyoto 606-8501, Japan.
  4. 4 Department of Pharmacology and Toxicology, Medical College of Georgia, Augusta, GA 30912, USA.
  5. * Corresponding author. Email: augen-pioszak@ouhsc.edu

Editor's summary

アミリンは、GPCRであるカルシトニン受容体と、3つの補助タンパク質(RAMP1〜RAMP3)のいずれかとのヘテロ二量体である受容体(AMYR)を活性化することにより食欲を抑制するペプチドホルモンである。アミリンとカルシトニンの類似体が肥満治療薬として開発されていることから、GostynskaらはAMYRサブユニット相互作用のダイナミクスをより深く理解しようと試みた。界面活性剤可溶化受容体、生細胞内のタグ付加タンパク質、シグナル伝達アッセイを用いた実験により、アミリンとカルシトニンが、AMYRサブユニットの集合と解離に対して、RAMP特異的に異なる影響を与えることを発見した。これらの知見は創薬への示唆を与えるとともに、RAMPによるGPCRシグナル伝達の制御に関する洞察を提供する。—John F. Foley

要約

3つのアミリン受容体(AMYR)はペプチドホルモンであるアミリンの代謝作用を媒介し、糖尿病や肥満の薬剤標的となっている。AMY1R、AMY2R、およびAMY3Rは、それぞれ、アミリン効力を増強するRAMP1、RAMP2、またはRAMP3補助サブユニットと対になったGタンパク質共役受容体であるカルシトニン受容体(CTR)からなるヘテロ二量体である。本研究では、AMYRがペプチドアゴニストによって調節される異なる基底サブユニット平衡を持ち、受容体活性化の下流のcAMPシグナル伝達の程度を決定することを発見した。AMYRヘテロ二量体と遊離サブユニットを分離する生化学的アッセイを開発することにより、AMY1RおよびAMY2Rサブユニットとしての分布よりもCTRやRAMPの遊離状態の方が優勢であること、およびラットアミリンがAMY1RおよびAMY2Rの構成サブユニットの会合を促進することを発見した。アゴニストαCGRPもAMY1Rサブユニットの会合を誘導した。CTRとRAMP3膜貫通ドメイン間の相互作用が強まると、より安定したAMY3Rが形成され、ヒトおよびサケカルシトニンアゴニストはAMY3Rの解離を促進した。生細胞膜においても同様のサブユニットの会合および解離の変化が観察され、Gタンパク質共役アッセイおよびcAMPシグナル伝達アッセイにより、これらの変化がシグナル伝達にどのような変化をもたらすかが示された。本研究結果はAMYRの生物学および薬剤開発に示唆を与え、サブユニット相互作用ダイナミクスを介したヘテロ多量体GPCRシグナル伝達の制御機構を明らかにする。

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