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電位依存性K+チャネルKv1.3のエンドサイトーシスの分子決定因子
Molecular determinants for the endocytosis of the voltage-gated K+ channel Kv1.3
SCIENCE SIGNALING
30 Sep 2025 Vol 18, Issue 906
DOI: 10.1126/scisignal.ado8924
Irene Estadella1, †, María Navarro-Pérez1, †, Magalí Colomer-Molera1, Michael L. Dustin2, Alexander Sorkin3, Jesusa Capera1, 2, Antonio Felipe1, *
- 1 Molecular Physiology Laboratory, Departament de Bioquímica i Biomedicina Molecular, Institut de Biomedicina (IBUB), Universitat de Barcelona, Avda. Diagonal 643, 08028 Barcelona, Spain.
- 2 Kennedy Institute of Rheumatology, University of Oxford, Oxford OX3 7FY, UK.
- 3 Department of Cell Biology, University of Pittsburgh School of Medicine, Pittsburgh, PA 15261, USA.
- † These authors contributed equally to this work.
- * Corresponding author. Email: afelipe@ub.edu
Editor's summary
ニューロンおよび免疫細胞における電位依存性K+チャネルKv1.3の活性は、病理学的影響を回避するために抑制される必要がある。Estadellaらは、エンドサイトーシスを誘導し、それによってKv1.3の活性を低下させる2つの刺激に共通の分子機構があることを発見した。ニューロン分化に重要なシグナルまたは免疫抑制刺激のいずれかに応答して、Kv1.3の2つのリジン残基クラスターがユビキチン化され、それにより内在化と分解が引き起こされた。ヒトT細胞において、Kv1.3のユビキチン化またはエンドサイトーシスを阻害すると、免疫シナプスにおけるKv1.3の存在量が増加し、結果としてKv1.3電流が増加した。これらの結果は、異なるエンドサイトーシス誘導刺激に共通する、Kv1.3の活性を抑制する分解機構の存在を示唆している。—Wei Wong
要約
電位依存性カリウムチャネルKv1.3は、感覚ニューロンにおける活動電位伝導と、免疫細胞を活性化する細胞質Ca2+の持続的増加に寄与する。本研究では、2つの異なるエンドサイトーシス誘導刺激がKv1.3の同一残基を介して作用し、チャネルの表面存在量と活性を制御することを明らかにした。チロシンキナーゼを刺激し神経分化に重要な成長因子受容体EGFR、あるいは炎症応答の下方制御に関与するセリン/スレオニンキナーゼPKCを刺激すると、Kv1.3はユビキチン化依存的にエンドサイトーシスされた。この経路はチャネルタンパク質を分解のためにリソソームへ輸送する。われわれは、Kv1.3のN末端とC末端に2つのリジンクラスターをマッピングした。この両クラスターは、チロシンキナーゼまたはセリン/スレオニンキナーゼいずれかの活性化に際してユビキチン化され、これらの複合変異はユビキチン化とエンドサイトーシスを減少させる相加効果を示した。Kv1.3のユビキチン化を阻害するかエンドサイトーシスを減少させる操作は、初代培養ヒトT細胞で免疫シナプスにおけるKv1.3の存在量と活性を増加させた。この部位におけるチャネルの長期蓄積は、Kv1.3依存性の白血球活性化を増強し、慢性炎症性病態を導くことが予想される。このように、ユビキチン化は、生物学的刺激や障害に応答してKv1.3のエンドサイトーシスとターンオーバーを誘導することで、細胞生物学を微調整する。