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EGFR変異型肺がんにおいてSOS1の阻害はオシメルチニブ耐性の発現を抑制し、持続的効果を生じる

SOS1 inhibition suppresses the emergence of osimertinib resistance to generate a durable response in EGFR-mutant lung cancer

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Nov 2025 Vol 18, Issue 914
DOI: 10.1126/scisignal.aea2788

Brianna R. Daley1, 2, Patricia L. Theard1, 2, Jacob M. Hughes1, Bridget A. Finniff1, Marco H. Hofmann3, Kaja Kostyrko3, Robyn L. Schenk3, Heidi M. Vieira4, James W. Askew4, Robert E. Lewis4, Robert L. Kortum1, *

  1. 1 Department of Pharmacology and Molecular Therapeutics, Uniformed Services University of the Health Sciences, Bethesda, MD 20814, USA.
  2. 2 USU Physician-Scientist Program, Uniformed Services University of the Health Sciences, Bethesda, MD 20814, USA.
  3. 3 Boehringer Ingelheim RCV GmbH & Co KG, Vienna 1120, Austria.
  4. 4 Eppley Institute for Research in Cancer and Allied Diseases, University of Nebraska Medical Center, Omaha, NE 68198, USA.
  5. * Corresponding author. Email: robert.kortum@usuhs.edu

Editor's summary

EGFR阻害薬「オシメルチニブ」の治療を受けている多くの非小細胞肺がん(NSCLC)患者では耐性が発現する。Daleyらは、変異型EGFRを有する前臨床NSCLCモデルを用いて、増殖因子シグナル伝達エフェクターであるSOS1を阻害することによりオシメルチニブ耐性の出現が遅延することを明らかにした。培養スフェロイドにおけるSOS1の阻害は、オシメルチニブ耐性を媒介する下流シグナル伝達の再活性化を遮断し、この併用は、マウスにおいて治療中止後も数週間にわたり持続する効率的な腫瘍退縮をもたらした。これらの知見から、SOS1の阻害は、患者における標準的オシメルチニブ治療の持続性を改善する可能性があることを示している。—Leslie K. Ferrarelli

要約

オシメルチニブは、受容体チロシンキナーゼ(RTK)EGFRにより誘発される非小細胞肺がん(NSCLC)の患者に対する治療の主力である。しかし大半の患者では、治療の圧力により、腫瘍細胞の生存とオシメルチニブ耐性の発現を支持するRTK依存性機構を促進する。本稿でわれわれは、上流のRTKシグナル伝達中間体SOS1の阻害が、感受性を有する細胞ではオシメルチニブの継続的な有効性を促進し、耐性を獲得した細胞では感受性を回復させることを見いだした。未処理NSCLC細胞の3次元培養スフェロイドにおいて、SOS1の阻害は、RTK依存性の適応性Rasエフェクターの再活性化を制限することで、オシメルチニブの効力を増強した。SOS1の阻害は、オシメルチニブに対する薬剤耐性持続細胞を再感受性化し、SOS1のノックアウトまたは阻害は腫瘍化開始細胞の頻度を減少させてin situのスフェロイドの増殖を抑制し、in vivoでは腫瘍形成を抑止した。SOS1の阻害はさらに、オシメルチニブ獲得耐性の発現を抑制し、オシメルチニブ耐性細胞を再感受性化した。マウスにおいて、オシメルチニブ単独またはオシメルチニブとSOS1阻害薬を併用したときほぼ完全な腫瘍退縮が認められ、併用の方がわずかに高い効果を示した。ただし、治療中止後の腫瘍再増殖を遅延させたのは併用のみであった。われわれのデータから、NSCLC患者においてより持続的な効果を達成して耐性を抑制するために、SOS1阻害薬とオシメルチニブの併用を臨床研究することの機構上の論理的根拠が示された。

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