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EGFRの活性化が三叉神経のNMDA受容体の感受性を高め、口腔がんにおける疼痛とモルヒネ鎮痛耐性を促進している

EGFR activation sensitizes trigeminal NMDA receptors to promote pain and morphine analgesic tolerance in oral cancer

Research Article

SCIENCE SIGNALING
27 Jan 2026 Vol 19, Issue 922
DOI: 10.1126/scisignal.adt3026

Naijiang Liu1, 2, †, Xiaojie Shi1, 2, †, Shao-Rui Chen3, Hong Chen3, Maria Daniela Santi1, 2, Dong Minh Phuong4, Maria Fernanda Pessano Fialho2, Tongxin Xie5, Frederico Gleber-Netto5, Rocco Latorre2, Nigel W. Bunnett2, 6, Chi Viet4, Moran Amit5, Hui-Lin Pan3, Yi Ye1, 2, 7, *

  1. 1 Translational Research Center, College of Dentistry, New York University, New York, NY 10010, USA.
  2. 2 Pain Research Center, Department of Molecular Pathobiology, College of Dentistry, New York University, New York, NY 10010, USA.
  3. 3 Division of Anesthesiology, Critical Care Medicine, and Pain Medicine, University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, TX 77030, USA.
  4. 4 Loma Linda University School of Dentistry, Loma Linda, CA 92350, USA.
  5. 5 Head & Neck Surgery, University of Texas MD Anderson Cancer Center, Houston, TX 77030, USA.
  6. 6 Department of Neuroscience, Grossman School of Medicine, New York University, New York, NY 10010, USA.
  7. 7 Department of Biomedical Engineering, Tandon School of Engineering, New York University, New York, NY 10010, USA.
  8. † These authors contributed equally to this work.
  9. * Corresponding author. Email: yy22@nyu.edu

Editor's summary

口腔扁平上皮がん(OSCC)により引き起こされる重度疼痛の治療にはオピオイドが使用されているが、オピオイドに対する耐性が高頻度に発現する。Liuらは、増殖因子受容体EGFR阻害薬に対してもOSCCでは耐性が発現するものの、その代わり、EGFR阻害薬は腫瘍近傍のニューロンを標的にすることで関連疼痛の治療に使用できる可能性があることを見いだした。患者およびマウスモデルから採取した検体では、EGFRリガンドはOSCCおよび隣接するグリア細胞に豊富に含まれていた。このリガンドは、神経支配している三叉神経(主要な顔面の感覚神経)神経節上のEGFRを活性化し、これによりグルタミン酸受容体のシグナル伝達を亢進し、ひいてはニューロンのシナプス活性を増強した。舌のOSCCを有するマウスでは、EGFR阻害薬により疼痛が軽減し、モルヒネの鎮痛作用が回復した。このことは、このようなアプローチが患者の疼痛管理を改善する可能性を示唆している。—Leslie K. Ferrarelli

要約

口腔がんに伴う疼痛は患者を衰弱させる。がんの疼痛管理にはオピオイドがゴールドスタンダードであるが、耐性と副作用の点でその使用が制限されている。口腔腫瘍では上皮増殖因子受容体(EGFR)シグナル伝達の増強が多く認められる。本稿でわれわれは、EGFRの活性化が、顔面と口を神経支配している主要な感覚ニューロンである三叉神経節(TG)細胞の感受性を高めることにより、口腔がんの疼痛とオピオイド耐性の両方に寄与していることを見いだした。EGFRのリガンドは口腔扁平上皮がん(OSCC)細胞から、また、OSCC細胞と共培養した末梢グリア細胞からも分泌されていた。ヒトOSCCおよび同所性マウスモデルにおいてEGFRは、腫瘍を神経支配しているTGに豊富に存在していた。マウスにおける口腔がんの疼痛およびオピオイド耐性は、EGFRリガンドにより増強し、EGFR阻害薬により軽減した。マウスではグルタミン酸型NMDA受容体(NMDAR)の存在量も、TGと脳幹の両方で増加していた。リガンドまたはOSCC細胞上清により活性化されたEGFRは、NMDARのサブユニットGluN2Bをリン酸化し、これが脳幹の電流およびシナプス前/シナプス後のNMDARを増大させた。このような感作は、モルヒネの長期投与を受けたマウスの脳幹でも認められ、EGFR遮断により軽減した。これらの知見は、EGFRを標的とするがん治療薬を、OSCC患者における疼痛の管理およびオピオイド耐性の軽減のために再活用できる可能性を示唆している。

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