• ホーム
  • Nodalシグナル伝達は、ヒストン脱メチル化酵素Jmjd3を動員し、標的遺伝子においてポリコームが媒介する抑制を打ち消す

Nodalシグナル伝達は、ヒストン脱メチル化酵素Jmjd3を動員し、標的遺伝子においてポリコームが媒介する抑制を打ち消す

Nodal Signaling Recruits the Histone Demethylase Jmjd3 to Counteract Polycomb-Mediated Repression at Target Genes

Research Article

Sci. Signal., 22 June 2010
Vol. 3, Issue 127, p. ra48
[DOI: 10.1126/scisignal.2000841]

Oyvind Dahle, Amit Kumar, and Michael R. Kuehn*

Laboratory of Protein Dynamics and Signaling, National Cancer Institute, NCI-Frederick, National Institutes of Health, Frederick, MD 21702, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: mkuehn@mail.nih.gov

要約:細胞間シグナル伝達と後成的機構(epigenetic mechanisms)は、いずれも胚発生を制御するが、細胞系譜特異的な遺伝子発現プログラムを確立し、維持するために、それらがどのように統合される かは、明らかになっていない。今回われわれは、発生上必要不可欠なNodal-Smads2/3(Smad2およびSmad3)シグナル伝達経路の主な機 能は、ヒストン脱メチル化酵素Jmjd3を標的遺伝子に動員し、それにより、ポリコームによる抑制を打ち消すことであることを示す。Smads2/3は、 Jmjd3に結合し、活性化Nodalシグナル伝達に依存する様式で、Jmjd3をクロマチンへ動員した。Jmjd3をノックダウンしただけで、 Nodal標的遺伝子の発現がかなり低下したのに対し、ポリコームの不在下では、標的遺伝子座はNodalシグナル伝達と無関係に発現された。これらの データは、標的遺伝子の発現にNodalシグナル伝達への依存性を課す際にポリコームが果たす役割を立証するものであり、発生シグナル伝達と後成的過程が どのように統合し、遺伝子発現を制御するかを明らかにする。

O. Dahle, A. Kumar, M. R. Kuehn, Nodal Signaling Recruits the Histone Demethylase Jmjd3 to Counteract Polycomb-Mediated Repression at Target Genes. Sci. Signal. 3, ra48 (2010).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2010年6月22日号

Editors' Choice

栄養センシング
輸送との競合

Editorial Guides

複雑な調節系の進化(革命)

Research Article

Nodalシグナル伝達は、ヒストン脱メチル化酵素Jmjd3を動員し、標的遺伝子においてポリコームが媒介する抑制を打ち消す

Perspectives

軸パターン形成と再生におけるWntシグナル伝達:プラナリアから得た教訓

赤外線を検知するヘビの眼:ヘビのピット器官のTRPA1と温度感受性

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する