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MUC1-C腫瘍性タンパク質は自己誘導性の調節ループでSTAT3の活性化を促進する

MUC1-C Oncoprotein Promotes STAT3 Activation in an Autoinductive Regulatory Loop

Research Article

Sci. Signal., 15 February 2011
Vol. 4, Issue 160, p. ra9
[DOI: 10.1126/scisignal.2001426]

Rehan Ahmad*, Hasan Rajabi*, Michio Kosugi, Maya Datt Joshi, Maroof Alam, Baldev Vasir, Takeshi Kawano†, Surender Kharbanda‡, and Donald Kufe§

Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Jikei University School of Medicine, Tokyo 105-8461, Japan.

‡ Present address: Genus Oncology, Boston, MA 02118, USA.

§ To whom correspondence should be addressed. E-mail: donald_kufe@dfci.harvard.edu

要約:シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)はヒトの乳がんや他の悪性腫瘍において活性化されている。一方、ムチン1(MUC1)はヒト上皮性腫瘍で過剰発現しているヘテロ二量体の細胞表面糖タンパク質であり、STAT3と同様に細胞の生存を促し、形質転換を誘導する。われわれは、乳がん細胞において、MUC1のC末端受容体サブユニット(MUC1-C)がgp130-Janus活性化キナーゼ1(JAK1)-STAT3複合体と会合していることを見いだした。このMUC1-C細胞質ドメインはJAK1およびSTAT3と直接相互作用しており、MUC1-CはJAK1を介するSTAT3の活性化に必要であった。さらに、MUC1-Cと活性化STAT3はMUC1のプロモーターを占有し、MUC1-CがSTAT3を介するMUC1転写の活性化に寄与していた。MUC1-C阻害剤であるGO-201はMUC1-CとSTAT3の相互作用を遮断し、それによってMUC1-CとSTAT3によるMUC1STAT3のプロモーターの占有を抑制し、MUC1自体を含むSTAT3の標的遺伝子の活性化を抑制する。これらの知見は、MUC1-CがSTAT3の活性化を促進すること、またMUC1-CとSTAT3は自己誘導性ループを形成しており、このループががん細胞の生存において機能している可能性を示唆する。

R. Ahmad, H. Rajabi, M. Kosugi, M. D. Joshi, M. Alam, B. Vasir, T. Kawano, S. Kharbanda, D. Kufe, MUC1-C Oncoprotein Promotes STAT3 Activation in an Autoinductive Regulatory Loop. Sci. Signal. 4, ra9 (2011).

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2011年2月15日号

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