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MAPKによるTNF-α誘導性アポトーシスの調節と増殖の空間的・時間的側面をin vivoシステム解析で確認する

In Vivo Systems Analysis Identifies Spatial and Temporal Aspects of the Modulation of TNF-α-Induced Apoptosis and Proliferation by MAPKs

Research Article

Sci. Signal., 22 March 2011
Vol. 4, Issue 165, p. ra16
[DOI: 10.1126/scisignal.2001338]

Ken S. Lau1,2,3, Alwin M. Juchheim1,2, Kimberly R. Cavaliere1, Sarah R. Philips1, Douglas A. Lauffenburger3, and Kevin M. Haigis1,2*

1 Molecular Pathology Unit, Center for Cancer Research, and Center for Systems Biology, Massachusetts General Hospital, Charlestown, MA 02129, USA.
2 Department of Pathology, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
3 Department of Biological Engineering and Koch Institute for Integrative Cancer Research, Massachusetts Institute of Technology, Cambridge, MA 02139, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: khaigis@partners.org

要約:外部刺激に対する細胞応答は、多経路ネットワークシグナル伝達の動的特性に依存する。そのため、細胞の行動は環境によっても内在特性によっても複雑な影響を受ける。多変量システム解析法によって、これらの入り組んだ作用についての理解は得られているが、その理解は比較的単純化されたin vitroでの例に限られている。このような手法をin vivoでうまく利用できるかどうかを確認するために、われわれは、腫瘍壊死因子α(TNF-α)に対する腸上皮細胞の応答を決定するシグナル伝達ネットワークについて解析した。われわれは、TNF-αへの全身曝露後のマウスの小腸上皮におけるシグナル伝達応答、アポトーシス応答、増殖応答に基づくデータを重視した部分最小二乗法判別分析(partial least-squares discriminant analysis:PLSDA)モデルを構築した。細胞外シグナル制御キナーゼ(extracellular signal-regulated kinase:ERK)シグナル伝達軸は、異なるTNF-α投与量でのアポトーシスの時間的変動と、特徴的な腸内領域での増殖の空間的変動の重要なモジュレーターであった。ERKの上流にあるマイトジェン活性化プロテインキナーゼキナーゼ(MEK)の阻害は、このシグナル伝達ネットワークを変化させ、モデル予測と一致する時間的・空間的表現型を変化させた。今回の結果は、in vivoのシグナル伝達ネットワークがもつ動的な適応性を実証し、定量的な多変量の計算モデル化によってのみ解き明かすことのできる応答の本来の組織レベルでの変動を確認するものである。本研究は、複雑な疾患の根底に細胞ネットワークの状態の調節異常があることを理解するうえで、システムに基づく手法の利用の基礎となる。

K. S. Lau, A. M. Juchheim, K. R. Cavaliere, S. R. Philips, D. A. Lauffenburger, K. M. Haigis, In Vivo Systems Analysis Identifies Spatial and Temporal Aspects of the Modulation of TNF-α-Induced Apoptosis and Proliferation by MAPKs. Sci. Signal. 4, ra16 (2011).

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