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ショウジョウバエアセチロームの全プロテオームマッピングが示すリシンアセチル化の高度な保存

Proteome-Wide Mapping of the Drosophila Acetylome Demonstrates a High Degree of Conservation of Lysine Acetylation

Research Article

Sci. Signal., 26 July 2011
Vol. 4, Issue 183, p. ra48
[DOI: 10.1126/scisignal.2001902]

Brian T. Weinert1, Sebastian A. Wagner1, Heiko Horn2, Peter Henriksen1, Wenshe R. Liu3, Jesper V. Olsen1, Lars J. Jensen2, and Chunaram Choudhary1*

1 Department of Proteomics, The Novo Nordisk Foundation Center for Protein Research, Faculty of Health Sciences, University of Copenhagen, Blegdamsvej 3, 2200 Copenhagen, Denmark.
2 Department of Disease Systems Biology, The Novo Nordisk Foundation Center for Protein Research, Faculty of Health Sciences, University of Copenhagen, DK-2200 Copenhagen, Denmark.
3 Department of Chemistry, Texas A&M University, College Station, TX 77843, USA.

* To whom correspondence should be addressed: E-mail: chuna.choudhary@cpr.ku.dk

要約:アセチル化およびリン酸化によるタンパク質の翻訳後修飾が、生体内のほとんどの細胞過程を調節する。驚くべきことに、リン酸化されたセリンおよびトレオニン残基の進化的保存性は、非修飾セリンおよびトレオニンよりもわずかに高いだけである。本研究では、高分解能質量解析法によって、キイロショウジョウバエのプロテオームにおいて1,981個のリシンアセチル化部位を特定した。ショウジョウバエやヒトにおいて実験的に同定されたアセチル化部位とリン酸化部位のデータセットを用いて、われわれはこれらの修飾部位のハエとヒト間の進化的保存性について解析した。部位レベルでの保存性を解析することによって、アセチル化部位は高度に保存されており、その保存性はリン酸化部位よりも有意に高いことが明らかになった。また、ショウジョウバエとヒトにおけるリシンの保存性を、線虫とゼブラフィッシュにおけるリシンの保存性と比較すると、アセチル化リシンは非アセチル化リシンよりも有意に保存されていることが明らかになった。遺伝子オントロジー用語を用いたバイオインフォマティクス解析によって、保存されたアセチル化部位をもつタンパク質は、タンパク質翻訳、タンパク質フォールディング、DNAパッケージング、ミトコンドリア代謝などの細胞過程を制御することが示唆された。われわれは、ユビキチン結合E2酵素のアセチル化が進化的に保存され、保存されたアセチル化部位の突然変異がヒトE2酵素UBE2D3の機能を障害することを見いだした。このような翻訳後修飾比較のシステムレベルでの解析によって、アセチル化は古くから保存された修飾であることが示され、リン酸化部位はアセチル化部位よりも急速に進化した可能性が示唆される。

B. T. Weinert, S. A. Wagner, H. Horn, P. Henriksen, W. R. Liu, J. V. Olsen, L. J. Jensen, C. Choudhary, Proteome-Wide Mapping of the Drosophila Acetylome Demonstrates a High Degree of Conservation of Lysine Acetylation. Sci. Signal. 4, ra48 (2011).

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