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細胞ベースのハイコンテントスクリーニングアッセイによってがん細胞浸潤の活性化因子と阻害抑制因子が明らかになる

A Cell-Based High-Content Screening Assay Reveals Activators and Inhibitors of Cancer Cell Invasion

Research Article

Sci. Signal., 26 July 2011
Vol. 4, Issue 183, p. ra49
[DOI: 10.1126/scisignal.2002032]

Manuela Quintavalle1, Leonardo Elia2,3, Jeffrey H. Price1,4, Susanne Heynen-Genel1, and Sara A. Courtneidge1*

1 Sanford-Burnham Medical Research Institute, 10901 North Torrey Pines Road, La Jolla, CA 92037, USA.
2 Department of Medicine, Division of Cardiology, University of California San Diego, 9500 Gilman Drive, La Jolla, CA 92093, USA.
3 MultiMedica-IRCCS, via Gaudenzio Fantoli 16/15, Milan 20138, Italy.
4 Vala Sciences Inc., 11575 Sorrento Valley Road, Suite 204, San Diego, CA 92121, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: courtneidge@sanfordburnham.org

要約:腫瘍の進行と転移の根底には、浸潤性細胞動態の獲得がある。浸潤動態の根底にある分子機構をより明確にするために、われわれは、浸潤突起(がん細胞のアクチンに富む膜突起であり、組織浸潤とマトリックスのリモデリングに寄与する)を定量するためのハイスループットなスクリーニング戦略を開発した。薬理学的な活性を有する物質からなるLOPAC 1280コレクションをハイコンテントな画像ベースアッセイを用いて試験し、明白な毒性もなく浸潤突起形成を抑制する物質と、浸潤突起数を増大させる化合物を同定した。化学療法薬であるパクリタキセルは、多様なヒトがん細胞株の浸潤突起数を増大させるとともに浸潤動態を亢進させた。これらは、原発腫瘍の外科的摘出前での使用(ネオアジュバント療法)または化学療法抵抗性腫瘍の患者に対して臨床的意義をもつ作用である。浸潤を抑制した数種の化合物は、サイクリン依存性キナーゼ(Cdk)阻害物質としての特徴があり、また機能喪失実験(loss-of-function experiment)によってCdk5が関連標的であることが判明した。さらにわれわれは、リン酸化によってCdk5が浸潤突起形成とがん細胞浸潤の両方を促進し、それによってアクチン調節タンパク質のカルデスモンの量を減らすことを明らかにした。

M. Quintavalle, L. Elia, J. H. Price, S. Heynen-Genel, S. A. Courtneidge, A Cell-Based High-Content Screening Assay Reveals Activators and Inhibitors of Cancer Cell Invasion. Sci. Signal. 4, ra49 (2011).

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