• ホーム
  • 細胞外のCa2+はニューロンからグリアへの伝達のメディエーターとして働く

細胞外のCa2+はニューロンからグリアへの伝達のメディエーターとして働く

Extracellular Ca2+ Acts as a Mediator of Communication from Neurons to Glia

Research Article

Sci. Signal., 24 January 2012
Vol. 5, Issue 208, p. ra8
[DOI: 10.1126/scisignal.2002160]

Arnulfo Torres1, Fushun Wang1, Qiwu Xu1, Takumi Fujita1, Radoslaw Dobrowolski2, Klaus Willecke2, Takahiro Takano1, and Maiken Nedergaard1*

1 Center for Translational Neuromedicine, Division of Glial Disease and Therapeutics, University of Rochester Medical School, 601 Elmwood Avenue, Rochester, NY 14642, USA.
2 Institut fuer Genetik, Rheinische Friedrich-Wilhelms-Universitaet, D-53115 Bonn, Germany.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: nedergaard@urmc.rochester.edu

要約:ニューロンとアストロサイトの間の伝達経路を定義することは、中枢神経系のより高度な機能の解明に貢献するかもしれない。われわれは、シナプス伝達の際に起こる細胞外のカルシウムイオン濃度([Ca2+]e)の低下がニューロンからグリアへのシグナル伝達を媒介する可能性について調べた。われわれは、[Ca2+]eを低下させるために感光性のCa2+バッファーであるジアゾ-2{N-[2-[2-[2-[ビスカルボキシメチル]アミノ]-5-(ジアゾアセチル)フェノキシ]エトキシ]-4-メチルフェニル}-N-(カルボキシメチル)-,テトラカリウム塩}の非浸潤性の光分解を利用したり、グルタミン酸作動性の伝達を刺激するためにケージドグルタミン酸を用いたりすることによって、細胞外のCa2+の局所的な減少がアストロサイトのアデノシン三リン酸(ATP)の放出とCa2+シグナル伝達を誘発することを発見した。続いて、抑制性の介在ニューロンのサブセットのプリン作動性P2Y1受容体の活性が、これらの介在ニューロンによる活性電位の発生を開始し、それによってシナプス抑制が亢進する。したがって、活性関連性の[Ca2+]eの低下によって誘起されるアストロサイトのATPの放出は、局所的な興奮性亢進に応答して抑制性伝達を増強する負のフィードバック機構となるであろう。

A. Torres, F. Wang, Q. Xu, T. Fujita, R. Dobrowolski, K. Willecke, T. Takano, M. Nedergaard, Extracellular Ca2+ Acts as a Mediator of Communication from Neurons to Glia. Sci. Signal. 5, ra8 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年1月24日号

Editors' Choice

翻訳後修飾
まずスルフヒドリル化、次にニトロシル化

Research Article

リン酸化された偽キナーゼ複合体がマイコバクテリアにおける細胞壁合成を制御する

細胞外のCa2+はニューロンからグリアへの伝達のメディエーターとして働く

Perspectives

マイコバクテリア細胞壁における偽キナーゼの役割が新たになる

最新のResearch Article記事

2025年12月02日号

シロイヌナズナ(Arabidopsis)において防御シグナルまたは傷害により誘発され局所伝播する細胞質Ca2+の波は、個別の機構により伝播する

2025年11月25日号

p16発現がサイクリンE1誘導性卵巣がんにおいてCDK2阻害薬に対する感受性を与える

2025年11月25日号

EGFR変異型肺がんにおいてSOS1の阻害はオシメルチニブ耐性の発現を抑制し、持続的効果を生じる

2025年11月18日号

IFN-Iシグナル伝達が放射線照射後の唾液腺幹細胞および前駆細胞の活性を高める

2025年11月11日号

SH2ドメイン含有シグナル伝達タンパク質SHP2およびSRCではイオン化可能なネットワークがpH依存性アロステリーを仲介する