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カンナビノイドはインスリン受容体活性化を直接抑制することによって膵β細胞死を誘導する

Cannabinoids Induce Pancreatic β-Cell Death by Directly Inhibiting Insulin Receptor Activation

Research Article

Sci. Signal., 20 March 2012
Vol. 5, Issue 216, p. ra23
[DOI: 10.1126/scisignal.2002519]

Wook Kim1, Qizong Lao1, Yu-Kyong Shin1, Olga D. Carlson1, Eun Kyung Lee2, Myriam Gorospe1, Rohit N. Kulkarni3, and Josephine M. Egan1*

1 National Institute on Aging, National Institutes of Health, Baltimore, MD 21224, USA.
2 Department of Biochemistry, College of Medicine, Catholic University of Korea, Seoul 137-701, Republic of Korea.
3 Department of Islet Cell Biology and Regenerative Medicine, Joslin Diabetes Center and Department of Medicine, Harvard Medical School, Boston, MA 02215, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: eganj@grc.nia.nih.gov

要約:カンナビノイド1(CB1)受容体は、これまでに膵β細胞で検出されており、この細胞においてインスリン作用を弱める。今回われわれは、CB1受容体が、インスリン受容体およびヘテロ三量体グアノシン三リン酸結合タンパク質αサブユニットGαiと、ヘテロマー複合体を形成することを報告する。Gαiは、インスリン受容体のチロシンキナーゼドメインにある活性化ループに直接結合することによって、β細胞においてこの受容体のキナーゼ活性を抑制した。その結果、アポトーシス促進タンパク質Badのリン酸化が低下し、アポトーシス活性が刺激され、β細胞死が起こった。CB1受容体の薬理学的遮断または遺伝的欠損によって、傷害後のインスリン受容体シグナル伝達が増強され、血糖値低下とBad活性化が起こり、β細胞の生存が亢進した。これらの結果は、CB1受容体とインスリン受容体の物理的および機能的相互作用の直接的証拠であり、末梢に作用するCB1受容体拮抗薬によって、CB1受容体のその他の代謝作用とは関係なく、インスリン感受性組織においてインスリン作用が改善される仕組みを示している。

W. Kim, Q. Lao, Y.-K. Shin, O. D. Carlson, E. K. Lee, M. Gorospe, R. N. Kulkarni, J. M. Egan, Cannabinoids Induce Pancreatic β-Cell Death by Directly Inhibiting Insulin Receptor Activation. Sci. Signal. 5, ra23 (2012).

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