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Aktへのホスファターゼの接近を制限するATP部位のオン・オフスイッチ
An ATP-Site On-Off Switch That Restricts Phosphatase Accessibility of Akt
Sci. Signal., 8 May 2012
Vol. 5, Issue 223, p. ra37
[DOI: 10.1126/scisignal.2002618]
Kui Lin1*, Jie Lin1, Wen-I Wu2, Joshua Ballard2, Brian B. Lee1, Susan L. Gloor2†, Guy P. A. Vigers2, Tony H. Morales2, Lori S. Friedman1, Nicholas Skelton1, and Barbara J. Brandhuber2*
1 Genentech Inc., South San Francisco, CA 94080, USA.
2 Array BioPharma Inc., Boulder, CO 80301, USA.
† Present address: Luca Technologies Inc., Golden, CO 80401, USA.
* To whom correspondence should be addressed. E-mail: klin@gene.com (K.L.); bbrandhuber@arraybiopharma.com (B.J.B.)
要約:セリン−トレオニンプロテインキナーゼのAktは、活性化の際のかなりのコンホメーション変化を受ける。この変化は、2つの極めて重要な調節残基であるトレオニン308とセリン473のリン酸化によって誘導される。矛盾しているように思われるが、細胞をAktのアデノシン5'-三リン酸(ATP)競合阻害薬で処理すると、両残基のリン酸化が亢進する。われわれは、ATP競合阻害薬の結合が、両リン酸化部位にホスファターゼが接近しにくいコンホメーションを安定化することを示す。また、ATPの結合はリン酸化された部位を保護するのに対して、加水分解産物であるアデノシン5'-二リン酸(ADP)またはアロステリックなAkt阻害薬との相互作用によって、これらのリン酸化された残基への接近しやすさが増大した。ATP競合阻害薬は、活性化Aktを標的にすることによってATPを模倣した。発がん性変異またはミリストイル化によって活性化されたAktは、野生型Aktと比較して、ATP競合阻害薬によってより強力に阻害された。これらのデータは、キナーゼ調節の新たなモデルを支持するものである。このモデルでは、ヌクレオチドが、コンホメーション変化を介してAktのオン・オフスイッチを調節し、このコンホメーション変化はATP競合阻害薬によって妨げられる。
K. Lin, J. Lin, W.-I. Wu, J. Ballard, B. B. Lee, S. L. Gloor, G. P. A. Vigers, T. H. Morales, L. S. Friedman, N. Skelton, B. J. Brandhuber, An ATP-Site On-Off Switch That Restricts Phosphatase Accessibility of Akt. Sci. Signal. 5, ra37 (2012).