• ホーム
  • lin-4マイクロRNAはLIN-14転写因子を標的にしてネトリン介在性の軸索誘引を抑制する

lin-4マイクロRNAはLIN-14転写因子を標的にしてネトリン介在性の軸索誘引を抑制する

The lin-4 MicroRNA Targets the LIN-14 Transcription Factor to Inhibit Netrin-Mediated Axon Attraction

Research Article

Sci. Signal., 12 June 2012
Vol. 5, Issue 228, p. ra43
[DOI: 10.1126/scisignal.2002437]

Yan Zou1, Hui Chiu1, Dorothée Domenger2,3, Chiou-Fen Chuang1*†, and Chieh Chang1,2,3*†

1 Division of Developmental Biology, Cincinnati Children's Hospital Research Foundation, Cincinnati, OH 45229, USA.
2 Department of Biology, McGill University, Montreal, Quebec H3A 1B1, Canada.
3 Department of Neurology and Neurosurgery, McGill University, Montreal, Quebec H3A 1B1, Canada.

* Senior authors contributed equally to this work.

† To whom correspondence should be addressed. E-mail: chieh.chang@cchmc.org (C.C.); chiou-fen.chuang@cchmc.org (C.-F.C.)

要約:線虫(Caenorhabditis elegans)のlin-4などのmiR-125マイクロRNAは、最初に発見されたマイクロRNAの一つで、系統発生的に保存されており、発生タイミングの調節に関係している。今回われわれは、lin-4マイクロRNAの機能喪失型変異によって、ネトリンホモログUNC-6を介する軸索誘引が促進されることを示した。lin-4マイクロRNAの非存在下では、反発的な誘導シグナルをコードするslt-1の機能喪失型変異に起因する、前腹側微小管(anterior ventral microtubule:AVM)ニューロンの軸索誘導欠損が抑圧された。lin-4欠損動物のAVMニューロンにおけるlin-4マイクロRNAの選択的発現から、lin-4がAVM軸索誘導に及ぼす影響は、細胞自律的であることが示唆された。プロモーターレポーター解析により、発生の際に軸索がその標的に向かって誘導されている期間には、lin-4がAVMニューロンに強く発現する可能性が示唆された。対照的に、ネトリンに非感受性の軸索誘導を受ける前外側微小管(anterior lateral microtubule:ALM)ニューロンでは、lin-4レポーターはほとんど検出されなかった。AVMニューロンでは、lin-4マイクロRNAの標的である転写因子LIN-14が、AVM軸索のUNC-6を介する腹側誘導を促進した。LIN-14は、UNC-6受容体UNC-40[脊椎動物のDeleted in Colorectal Cancer(DCC)の線虫ホモログ]とその補因子MADD-2、さらに、そのシグナルを伝達するUNC-34(Ena)とCED-10(Rac1)の両下流経路を介して、AVM軸索の誘引を促進した。LIN-14は、部分的にはUNC-40の存在量を増加させることによって、UNC-6を介する軸索誘引を刺激した。われわれの研究は、lin-4マイクロRNAが、LIN-14の活性を低下させて、AVMニューロンのUNC-6を介する軸索誘導を終結させることを示した。

Y. Zou, H. Chiu, D. Domenger, C.-F. Chuang, C. Chang, The lin-4 MicroRNA Targets the LIN-14 Transcription Factor to Inhibit Netrin-Mediated Axon Attraction. Sci. Signal. 5, ra43 (2012).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2012年6月12日号

Editor's Choice

癌生物学
TRADD:核内部から老化を促進

Research Article

転写因子TFEBはmTORC1シグナル伝達をリソソーム恒常性の転写制御に結びつける

lin-4マイクロRNAはLIN-14転写因子を標的にしてネトリン介在性の軸索誘引を抑制する

Perspectives

大腸菌(Escherichia coli)におけるS-ニトロシル化によるシグナル伝達

最新のResearch Article記事

2024年2月27日号

ALOX5はCD4+ T細胞のパイロトーシスと関節リウマチにおける組織炎症を駆動する

2024年2月20日号

デザイナー高密度リポタンパク質粒子が内皮バリア機能を強化し炎症を抑制する

T細胞におけるgp130シグナル伝達の活性化がTH17介在性の多臓器自己免疫を引き起こす

2024年2月13日号

GPCRキナーゼはその細胞内局在に応じて偏向性のCXCR3下流シグナル伝達を差次的に調節する

リラキシン-3受容体のGαi/oバイアスステープルペプチドアゴニストによるバイアスアゴニズムの機構