mTORによるストレス応答の転写制御

Sci. Signal., 1 July 2014
Vol. 7, Issue 332, p. re2
[DOI: 10.1126/scisignal.2005326]

Jose Aramburu^1*, M. Carmen Ortells², Sonia Tejedor¹, Maria Buxadé¹, and Cristina López-Rodríguez^1*

¹ Department of Experimental and Health Sciences, Universitat Pompeu Fabra, Barcelona 08003, Spain.
² Centre for Genomic Regulation and Universitat Pompeu Fabra, Barcelona 08003, Spain.

* Corresponding author. E-mail: jose.aramburu@upf.edu (J.A.); cristina.lopez-rodriguez@upf.edu (C.L.-R.)

要約

哺乳類ラパマイシン標的キナーゼ（mTOR）は、細胞の成長および増殖の中心的な制御因子であり、成長因子受容体、栄養素の状態、細胞内ATP（アデノシン5'-三リン酸）、および多様なストレス因子からの入力を統合する。1990年代半ばの初期の研究により、mTORがタンパク質翻訳の刺激に果たす役割が解明されて以来、このキナーゼは非常に多くのプロセスにおいてむしろ多面的な制御因子として浮上した。mTORは、通常、成長および増殖を刺激するシグナルによって活性化されるのに対し、その活性は、細胞が多様なストレス条件に曝露されると低下し、抑制されることさえある。しかし、細胞が成長能力とmTOR機能を維持しながら、ストレスへ順応することもある。ストレスがmTORをどのように抑制するかについて知識が蓄積されてきたにもかかわらず、mTORのストレス応答への影響についてはあまり知られていない。このレビューでは、われわれは、mTOR、特にmTOR複合体1（mTORC1）がストレス応答性転写因子を活性化する能力について論じ、将来的な研究のための未解決の問題の概要を述べる。

J. Aramburu, M. C. Ortells, S. Tejedor, M. Buxadé, C. López-Rodríguez, Transcriptional regulation of the stress response by mTOR. Sci. Signal. 7, re2 (2014).