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キナーゼ活性を伴わない作用:細胞外シグナル制御キナーゼのリン酸基転移非依存的な機能

Working Without Kinase Activity: Phosphotransfer-Independent Functions of Extracellular Signal-Regulated Kinases

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Sci. Signal., 25 October 2011
Vol. 4, Issue 196, p. re3
[DOI: 10.1126/scisignal.2002324]

Javier Rodríguez and Piero Crespo*

Instituto de Biomedicina y Biotecnología de Cantabria (IBBTEC), Consejo Superior de Investigaciones Científicas (CSIC)--IDICAN--Universidad de Cantabria. Departamento de Biología Molecular, Facultad de Medicina. Santander, 39011, Cantabria, Spain.

*Corresponding author. E-mail: crespop@unican.es

要約:マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)である細胞外シグナル調節キナーゼ1(ERK1)およびERK2は、様々な細胞内の局所に分布している約200種類の基質のリン酸化の際にセリンおよびトレオニンキナーゼとして作用することによって、増殖、分化および生存などの主要な細胞過程の調節において、特徴がはっきりした役割を果たす。しかし、過去数年にわたって、ERK1とERK2の作用機構が標準的なキナーゼとしての役割を超えていることを示唆する証拠が増えてきた。例えば、ポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ1、トポイソメラーゼIIおよびMAPKホスファターゼ3(MKP-3)などのタンパク質は、リン酸基転移活性を伴わないERK2と直接的な相互作用をすることによって活性化される。また、ERK2はDNAと結合し、キナーゼとしての役割とは独立して、転写調節因子として作用する。さらに、他の研究によって、ERK1とERK2が網膜芽細胞腫ポケットタンパク質とラミンAの相互作用をキナーゼ非依存的に阻害することによって、細胞周期エントリーを調節し得ることも明らかになっている。これらの知見は、ERK1とERK2が、それらの標準的な触媒活性とは独立して、機能的に重要な役割を果たすという概念を強力に支持し、このような従来からの典型的なシグナル伝達キナーゼに対する新たな見方の根拠を与えるものである。

J. Rodríguez, P. Crespo, Working Without Kinase Activity: Phosphotransfer-Independent Functions of Extracellular Signal-Regulated Kinases. Sci. Signal. 4, re3 (2011).

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2011年10月25日号

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