高血圧性腎の代謝再配線

Metabolic rewiring of the hypertensive kidney

Research Resources

Sci. Signal. 10 Dec 2019:
Vol. 12, Issue 611, eaax9760
DOI: 10.1126/scisignal.aax9760

Markus M. Rinschen1,2, Oleg Palygin3, Carlos Guijas1, Amelia Palermo1, Nicolas Palacio-Escat4,5,6, Xavier Domingo-Almenara1, Rafael Montenegro-Burke1, Julio Saez-Rodriguez4,5,7, Alexander Staruschenko3,8,*, and Gary Siuzdak1,*

1 Center for Metabolomics and Mass Spectrometry, The Scripps Research Institute, La Jolla, CA 92122, USA.
2 Department II of Internal Medicine and Center for Molecular Medicine, University of Cologne, Cologne 50931, Germany.
3 Department of Physiology, Medical College of Wisconsin, Milwaukee, WI 53226, USA.
4 COMBINE-Joint Research Center for Computational Biomedicine RWTH Aachen University, Aachen 52074, Germany.
5 Institute of Computational Biomedicine, Bioquant, Faculty of Medicine and Heidelberg University Hospital, Heidelberg University, Heidelberg 69120, Germany.
6 Faculty of Biosciences, University of Heidelberg, Heidelberg 69120, Germany.
7 Molecular Medicine Partnership Unit (MMPU), European Molecular Biology Laboratory and Heidelberg University, Heidelberg 69120, Germany.
8 Clement J. Zablocki VA Medical Center, Milwaukee, WI 53295, USA.

* Corresponding author. Email: staruschenko@mcw.edu (A.S.); siuzdak@scripps.edu (G.S.)

要約

高血圧症は、先進国全体で持続的に蔓延し、腎臓病と密接に関連している。ここでは、メタボロミクス、ホスホプロテオミクス、およびプロテオミクス手法を用いて、腎臓に及ぼす高血圧による傷害の影響を分析した。われわれのデータは、病気の初期段階での脂質分解や、ストレスに対抗するためにエネルギー等価物を再生する補充経路の活性化を含む、高血圧誘発性糸球体硬化の代謝的側面を明らかにした。例えば、コラーゲン合成に必要な分岐鎖アミノ酸とプロリンは、初期時点で、糸球体で枯渇していた。さらに、代謝ストレスの指標は、ATPとNADHの量が少ないこと、および、脂質分解に由来する酸化脂質の存在量増加に反映されていた。これらのプロセスは、mTORおよびAMPKシグナル伝達を介して代謝シグナル伝達が発生した腎糸球体に特異的であった。定量的ホスホプロテオミクスと数理モデリングを組み合わせることにより、これらのプロセスが、糸球体、特に有足細胞において、初期時点で減ったGTP量を競合することが予想された細胞骨格成分やGTP結合タンパク質などの重要な分子を制御することが示唆された。その結果、糸球体は、他の疾患モデルおよび糸球体損傷患者のこれまでに公表された研究で観察された知見である、中心炭素代謝、アミノ酸分解、脂質酸化の代謝酵素の発現増加を示した。全体として、多層オミクスは、高血圧性腎障害の概要を提供し、代謝または食事への介入が糸球体疾患および高血圧誘発性腎症を予防および治療できることを示唆している。

Citation: M. M. Rinschen, O. Palygin, C. Guijas, A. Palermo, N. Palacio-Escat, X. Domingo-Almenara, R. Montenegro-Burke, J. Saez-Rodriguez, A. Staruschenko, G. Siuzdak, Metabolic rewiring of the hypertensive kidney. Sci. Signal. 12, eaax9760 (2019).

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