• ホーム
  • TANK結合キナーゼをたたく複数の変異

TANK結合キナーゼをたたく複数の変異

Mutations that TANK a kinase

Editor's Choice

Sci. Signal. 10 Dec 2019:
Vol. 12, Issue 611, eaba4758
DOI: 10.1126/scisignal.aba4758

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. Ye, J. Cheung, V. Gerbino, G. Ahlsén, C. Zimanyi, D. Hirsh, T. Maniatis, Effects of ALS-associated TANK binding kinase 1 mutations on protein-protein interactions and kinase activity. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 116, 24517-24526 (2019).
Abstract/FREE Full Text Google Scholar

同じ病理学的転帰を伴うキナーゼTBK1のALS関連変異は、それぞれに異なるシグナル伝達経路に影響する。

要約

TANK結合キナーゼ1(TBK1)は、自然免疫応答、炎症、選択的オートファジー、細胞死に関与するセリン・スレオニンキナーゼである。構造的には、N末端キナーゼドメイン(KD)から順に、ユビキチン様ドメイン(ULD)、足場二量体化ドメイン(SDD)、C末端ドメインで構成されている。TBK1の活性化には、活性化ループのSer172のリン酸化が必要であるが、TBK1の二量体化も必要だと考えられている。TBK1のよく特徴づけられた基質である転写制御因子IRF3は、ウイルス感染に応答してI型インターフェロン(IFN)をコードする遺伝子の発現を駆動する。TBK1をコードする遺伝子(Tbk1)の変異は孤発性および家族性の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の症例に関連することから、Yeらは、TBK1のすべてのドメインにわたる25のミスセンス変異の影響を調べた。TBK1欠損HEK293細胞で変異型キナーゼを発現させ、キナーゼの量、Ser172のリン酸化、基質特異性、二量体化などのタンパク質間相互作用を測定した。全体としてこの解析では、ALSで同じ病態をもたらす別個の変異は、キナーゼ活性の阻害、基質特異性、二量体化、オートファジー受容体との相互作用など、それぞれに異なるレベルでTBK1に影響することが示された。ヘテロ二量体のアッセイでは、変異型TBK1タンパク質には野生型キナーゼに対するドミナントネガティブな作用がないことが示された。機能研究では、単量体TBK1でもキナーゼ活性が保持されることが示されたことから、二量体化は活性化に必須ではないが、二量体の形成によってTBK1の安定性とキナーゼ・基質間相互作用の効率が高まることが示唆された。Ser172リン酸化の解析ではさらに、未同定の上流キナーゼによってTBK1が活性化されることが示唆された。まとめると、これらの知見はTBK1の調節と活性に関するわれわれの理解を深めるものであり、異なるTBK1変異を発現する動物モデルを用いればALSの疾患機序についての洞察が得られる可能性を示唆している。

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2019年12月10日号

Editor's Choice

TANK結合キナーゼをたたく複数の変異

Research Article

DishevelledとAxinのDIXドメイン間の直接的なヘテロタイプ相互作用がβ-カテニンへのシグナル伝達を媒介する

Research Resources

高血圧性腎の代謝再配線

最新のEditor's Choice記事

2024年4月9日号

伸張を感知して食欲を抑える

2024年4月2日号

アルツハイマー病に関連する脂肪滴

2024年3月26日号

傷つけるのではなく助けるようにミクログリアにバイアスをかける

2024年3月19日号

痒みを分極化する

2024年3月12日号

抗体の脂肪への蓄積による老化