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直交性タンパク質間相互作用のデータ駆動型デザイン

Data-driven design of orthogonal protein-protein interactions

Research Resources

SCIENCE SIGNALING
28 Feb 2023 Vol 16, Issue 774
DOI: 10.1126/scisignal.abm4484

Duccio Malinverni1, 2, * and M. Madan Babu1, 2, *

  1. 1 MRC Laboratory of Molecular Biology, Francis Crick Avenue, Cambridge Biomedical Campus, Cambridge CB2 0QH, UK.
  2. 2 Department of Structural Biology and Center of Excellence for Data Driven Discovery, St. Jude Children's Research Hospital, Memphis, TN 38105, USA.

* Corresponding author. Email: duccio.malinverni@stjude.org (D.M.); madan.babu@stjude.org (M.M.B.)

パートナー同士を結合させるデザイナー

細胞内の効率的なシグナル伝達は、同族相互作用パートナー間での高度に選択的なタンパク質間相互作用(PPI)に依存する。自然界では、遺伝子重複や突然変異イベントが原因で新たな相互作用パートナーをもつ遺伝子産物が生まれ、その遺伝子産物が元の遺伝子産物同士の相互作用から分離されることによって新たなPPIが生じる(直交性相互作用)。PPIデザインによって既存タンパク質に別の目的をもたせることができれば、治療や合成生物学に応用できる可能性のある改変タンパク質を生成できる。MalinverniとBabuは、自然な遺伝子重複と突然変異イベントをシミュレートして直交性PPIをデザインする、配列解析に基づくアルゴリズムを考案した。著者らは、細菌二成分系で実験的に確定されたPPIを再現できることを示すことで、この手法を検証した。この手法は、将来の計算および実験による直交性PPIデザインのプラットフォームとして役立つ可能性がある。-JFF

要約

タンパク質間相互作用を改変して新たな機能を生み出すことは、治療学から合成生物学まで幅広い分野で多用途への応用が期待される挑戦である。細胞内での既存タンパク質相互作用ネットワークとの不要なクロストークを回避するためには、新たに生み出されるタンパク質の特異性と選択性を制御する必要がある。本稿でわれわれは、遺伝子重複と既存の相互作用タンパク質対の分岐を模倣して新しい相互作用をデザインする計算戦略を開発した。この戦略の実現可能性を示すために細菌PhoQ-PhoP二成分系をモデル系として使用し、既知の実験結果を用いてこの手法を検証した。デザインされたタンパク質対は、互いに排他的に相互作用し、改変前のパートナーとの潜在的クロストークから隔離されることが予測されている。このように、われわれが開発した手法は、タンパク質配列空間と新たな相互作用タンパク質対のデザインという未踏の領域の探索を可能にする。

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