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- 細胞表面を標的としたTurboIDによる細胞外近位相互作用プロファイリングによりLDLRがリガンド結合EGFRのパートナーであることが明らかに
細胞表面を標的としたTurboIDによる細胞外近位相互作用プロファイリングによりLDLRがリガンド結合EGFRのパートナーであることが明らかに
Extracellular proximal interaction profiling by cell surface-targeted TurboID reveals LDLR as a partner of liganded EGFR
SCIENCE SIGNALING
5 Nov 2024 Vol 17, Issue 861
[DOI: 10.1126/scisignal.adl6164]
Rasha Al Mismar1, 2, Payman Samavarchi-Tehrani1, Brendon Seale1, Vesal Kasmaeifar1, 2, Claire E. Martin1, Anne-Claude Gingras1, 2, *
- 1 Lunenfeld-Tanenbaum Research Institute, Mount Sinai Hospital, Sinai Health, Toronto, Canada.
- 2 Department of Molecular Genetics, University of Toronto, Toronto, Canada.
- * Corresponding author. Email: gingras@lunenfeld.ca
Editor's summary
ビオチンリガーゼTurboIDを用いた近接標識により、細胞内で直接または間接的に相互作用するタンパク質の同定が可能となる。この方法の範囲を細胞膜の細胞外側にまで拡張するため、Al Mismarらは細胞表面での使用に最適化されたTurboIDを開発した。著者らはこれを用いて、いくつかの膜貫通タンパク質の細胞外インタラクトームと、上皮成長因子受容体(EGFR)の相互作用パートナーのリガンド依存性変化を明らかにした。EGF刺激はEGFRの低密度リポタンパク質受容体との結合を誘導し、これまで未知の相互作用を検出するこの方法の有用性を実証した。—Annalisa M. VanHook
要約
細胞膜タンパク質は、他の細胞や環境からのシグナルの受容と伝達において極めて重要な役割を果たしており、細胞の機能性に不可欠である。ビオチン同定(BioID)等の酵素ベースの近接依存アプローチと、質量分析を組み合わせることにより、細胞内区画内の近接タンパク質相互作用ランドスケープが明らかになり始めている。これらのアプローチの可能性を細胞外環境の研究にまで広げるため、われわれは細胞外TurboID(ecTurboID)を開発した。これは、高速作動性ビオチンリガーゼTurboIDを用いて、生きた細胞の表面にあるタンパク質間の相互作用を短時間でプロファイリングするように設計された方法である。細胞外近接相互作用を捉えるよう実験およびデータ分析法を最適化した後、ecTurboIDを用いて、上皮成長因子受容体(EGFR)を含むいくつかの細胞膜タンパク質の近接インタラクトームを明らかにした。EGF刺激により、EGFRと低密度リポタンパク質受容体(LDLR)との結合が誘導され、EGFRシグナル伝達を調節するタンパク質との近接性が増すことでLDLRのインタラクトームが変化することがわかった。十分に研究され、臨床的に重要な2つの受容体間のこの相互作用の同定は、細胞膜タンパク質間の動的な細胞外結合を同定するための、われわれの改良された近接標識法の有用性を示している。