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喘息
気道の過剰収縮を防ぐ

Asthma
Preventing Airway Hypercontractility

Editor's Choice

Sci. Signal., 15 January 2013
Vol. 6, Issue 258, p. ec10
[DOI: 10.1126/scisignal.2003961]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

M. Kudo, S. M. A. K. Soltani, S. A. Sakuma, W. McKleroy, T.-H. Lee, P. G. Woodruff, J. W. Lee, K. Huang, C. Chen, M. Arjomandi, X. Huang, K. Atabai, Mgfe8 suppresses airway hyperresponsiveness in asthma by regulating smooth muscle contraction. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 110, 660–665 (2013).[Abstract] [Full Text]

喘息は気道閉塞、気道炎症、および気管支収縮と関連がある。免疫細胞の浸潤、およびインターロイキン(IL)-13、IL-17A、腫瘍壊死因子–α(TNF-α)などの炎症性サイトカインの産生によって、グアノシントリホスファターゼのRhoA、キナーゼのROCK2、ミオシン軽鎖ホスファターゼおよびミオシン軽鎖が関わる経路のカルシウム感受性が亢進し、気道平滑筋の収縮性が増大する。Mfge8はインテグリン結合性かつホスファチジルセリン結合性のタンパク質であり、アポトーシス細胞の除去において機能する。(卵白アルブミンにより誘発した)喘息モデルにおいて野生型とmfge8欠損マウスを比較したところ、mfge8欠損マウスでは肺抵抗(気道過反応性の1指標)が高いが、浸潤免疫細胞の量、存在する細胞の種類、および炎症性サイトカインの量はこれら2つの遺伝子型のマウスで同程度であることが明らかになった。卵白アルブミンに曝露したmfge8欠損マウスから単離した気管軟骨輪は、2種類のカルシウム増加性刺激に曝されたときの収縮性が亢進していた。卵白アルブミンに曝露しなくても、mfge8欠損マウスの気管軟骨輪はIL-13、TNF-α、またはIL-17に応答する収縮性の亢進を示した。遺伝子組換えMfge8(rMfge8)を添加すると、IL-13に曝露されたmfge8欠損マウスの気管軟骨輪が示す収縮性の亢進が改善され、野生型マウスの気管軟骨輪にrMfge8を投与すると、IL-13による収縮性亢進が阻止された。様々な欠損型あるいは変異型のコンストラクトを用いた実験によって、Mfge8が気管軟骨輪の収縮を抑制するためには、インテグリン結合ドメインが必要であることが示された。IL-13に曝露されたmfge8欠損マウスの気管軟骨輪をウェスタンブロット解析によって、野生型マウスの気管軟骨輪に比べて、ミオシン軽鎖およびミオシン軽鎖ホスファターゼのリン酸化が亢進し、核内因子κB(NF-κB)の核内蓄積が増大し、RhoAとその標的キナーゼであるROCK2の量が増大していることが示された。RhoA活性のアッセイによって、mfge8欠損マウスの気管軟骨輪ではIL-13誘導性のRhoA活性が上昇しており、これはrMfge8によって抑制されることが明らかになった。ヒト肺の気管支輪も、Mfge8のヒトホモログ(ラクトアドヘリン)を添加するとIL-13による収縮性の低下を示した。少数の喘息患者と健常ドナーの気管支内生検検体から、喘息患者の検体に含まれるラクトアドヘリン量は少ないことが示されり、この経路が患者の気道過剰反応および気道収縮性の調節に関連があることが示唆される。

N. R. Gough, Preventing Airway Hypercontractility. Sci. Signal. 6, ec10 (2013).

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2013年1月15日号

Editor's Choice

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気道の過剰収縮を防ぐ

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