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がん
抗炎症と抗血管新生の併用療法

Cancer
Combining Anti-Inflammatory and Anti-Angiogenic Therapy

Editor's Choice

Sci. Signal., 24 September 2013
Vol. 6, Issue 294, p. ec224
[DOI: 10.1126/scisignal.2004747]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. S. Chung, X. Wu, G. Zhuang, H. Ngu, I. Kasman, J. Zhang, J.-M. Vernes, Z. Jiang, Y. G. Meng, F. V. Peale, W. Ouyang, N. Ferrara, An interleukin-17–mediated paracrine network promotes tumor resistance to anti-angiogenic therapy. Nat. Med. 19, 1114–1123 (2013).[PubMed]

E. Maniati, T. Hagemann, IL-17 mediates resistance to anti-VEGF therapy. Nat. Med. 19, 1092–1094 (2013).[PubMed]

酸素と栄養の需要を賄うため、増殖中の腫瘍は、血管新生と呼ばれる過程で新しい血管の伸長を誘導する。血管新生を促進する血管内皮成長因子(VEGF)に対する抗体が、腫瘍増殖を抑える治療戦略として開発されてきた。しかしながら、腫瘍は、しばしば抗VEGF抗体治療への耐性をもつようになる(ManiatiとHagemann参照)。Chungらは、抗VEGF抗体に対する感受性のないがん細胞株(EL4細胞)あるいは抗VEGF抗体に対する感受性のあるがん細胞株(Tib-6細胞)により分泌される因子をスクリーニングした。EL4細胞は、Tib-6細胞から放出されるよりも~10,000倍高い濃度のインターロイキン-17A(IL-17A)を分泌しており、この差は計測された分泌因子の中で最も大きかった。IL-17Aは炎症性サイトカインの放出を誘発する。腫瘍のないマウスと比べてEL4細胞から形成された腫瘍のあるマウスは、炎症性サイトカインであるG-CSF(顆粒球コロニー刺激因子)とIL-6、および血管新生を促進するG-CSF誘導性因子Bv8の循環量が多かった。これらの増加は、IL-17Aに対する中和抗体の注射により消失した。抗VEGFおよび抗IL-17A抗体の両方で治療されたマウスでは、抗VEGF抗体のみで治療されたマウスよりもEL4細胞あるいは結腸がん細胞株CT-26から形成された腫瘍の増殖が減少していた。IL-17のサブユニットを欠くマウス(Il17rc–/–)においても、野生型マウスと比べてEL4腫瘍の増殖が低下した。さらに、細胞がIL-17Aを発現するよう改変された場合、Tib-6細胞から形成された腫瘍の増殖が増加した。IL-17Aの循環濃度は、EL4細胞から形成された腫瘍をもつ野生型とIl17rc–/–マウスで同等であったが、G-CSFおよびIL-6の循環濃度は、Il17rc–/–マウスよりも野生型で高かった。G-CSFは、CD11bおよびGr1陽性の未成熟骨髄性細胞を動員する。これらの細胞はT細胞を抑制し、腫瘍の血管新生を促進することで、腫瘍の進行を早める。Il17rc–/–マウスやG-CSF受容体欠損マウスに比べて、野生型マウスは、循環し腫瘍に浸潤するCD11b+Gr1+細胞の数が多く、Il17rc–/–マウス由来のCD11b+Gr1+細胞は、T細胞機能の抑制能が低下していた。Il17rc–/–マウス由来では見られなかったが、野生型由来の腫瘍関連線維芽細胞は、IL-17Aあるいは近縁のIL-17Fの刺激に応答して炎症性サイトカインを産生した。Tヘルパー17(TH17)細胞は炎症を亢進させ、TH17細胞の腫瘍浸潤は予後不良と関連していた。TH17細胞の浸潤数は、野生型マウスと比べてIl17rc–/–マウスのルイス肺がんで減少していた。これらの結果は、抗IL-17抗体との併用が抗血管新生治療への耐性を弱める可能性を示唆している。

W. Wong, Combining Anti-Inflammatory and Anti-Angiogenic Therapy. Sci. Signal. 6, ec224 (2013).

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